電子契約とは

2019年09月13日(金)

企業間で商品を売買する、サービスを提供する・される際には契約書を交わします。紙の契約書に署名押印して、それを郵送なり持参して相手も署名と押印することで、はじめて契約が成立する。これが従来の契約のやり方でした。近年ではIT技術の発達とインターネットの普及にともない、パソコンで契約が結べる「電子契約」を導入する企業が増えてきました。

今回は電子契約の導入を考えられている方を対象に、電子契約の基礎知識ややり方を解説。法的根拠や注意点などについてもご説明します。

電子契約とは

そもそも電子契約とはどういったものなのでしょうか?従来の紙の契約書とは何が異なるのでしょうか?電子契約の基礎知識をお送りします。

電子契約って何?

冒頭でご説明したとおり、従来企業間で商品やサービスの売買を行う際には紙の契約書で契約を交わしていました。紙の契約書に契約者同士が署名捺印することで双方の合意が成立したという証になるわけです。仮に契約後に契約不履行などのトラブルがあり、裁判になったとしても、契約書が証拠となります。

電子契約は紙の代わりにパソコンで契約書のデータをやり取りして契約を結ぶやり方です。手紙と電子メールの違いをイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。従来の契約書との違いを下表にまとめてみました。

電子契約 従来の契約書
形式 電子データ(PDFなど)
署名方法 電子署名、タイムスタンプ 押印、自筆署名
収入印紙 不要 必要
交換方法 インターネット上 持参、郵送
保管場所 サーバー、クラウド、ハードディスク 書棚のファイルなど
法的効力 本人電子署名があれば有効 本人の署名・押印があれば有効

紙が電子データになることで、さまざまなメリットがあります。インターネットを介して契約を結ぶ電子契約であれば、紙の契約書を郵送や持参して相手に署名押印をしてもらう必要がないため、手間がかかりません。データとしてサーバーやクラウドに保存できるので、スペースや管理コストも不要です。

また、紙の契約書では収入印紙を貼付することで印紙税を収めなければいけませんが、電子契約の場合はそれも不要です。これは、国税庁が課税対象となる文書の定義を「紙の原本」としているためです。

電子書籍を導入することで、大幅な省力化、省スペース化、経費削減効果が期待できるのです。

法的効力や証拠力に関しても、近年法整備が進み、紙の契約書と同様に電子契約も証拠として認められるようになってきました。電子契約の有効性については関連法令も交えて後ほど詳しく解説します。

電子契約が普及している背景

電子契約が普及したきっかけは2000年に政府が掲げた「e-Japan構想」です。当時はインターネットの黎明期。超高速インターネットの普及や、電子商取引の推進などが構想に盛り込まれました。詳しい内容は後述しますが、同年には電子署名法が制定、05年にはe-文書法の制定や電子帳簿法の改正がされるなど、電子契約に関する法整備がなされてきたのです。

これまでの紙の契約書から電子契約への移行は国際的なトレンドとも言えます。EUでは日本より早い1999年に電子署名指令が発令。加盟国で法整備をすすめ、電子署名を活用していこうという流れになりました。こうした世界の動きに合わせて、日本も独自に法整備を進めてきたのです。

2014年にはEU で電子文書や電子署名の有効性を加盟国が相互に認める「eIDAS規則」が制定。国内だけでなく、国際的にも電子契約の有効性が認められる土台が整備されてきています。電子契約が商取引の主流になるという未来は、そう遠くないのかもしれません。

電子契約の普及率

国内外の法整備やトレンドの変化もあって、電子契約の普及率も年を追うごとに上昇しています。

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)『企業 IT 利活用動向調査 2018』によると、「複数の部門、取引先との間で電子契約を採用している(N対N型)」と「一部の取引先との間で電子契約を採用している(1対N型)」の合計は2016年の調査では38.4%だったのに対し、17年は42.4%、18年は43.1。年を追うごとに増加していて、今や4割の企業がなんらかの形で電子契約を導入していることがわかります。

特筆すべきは「複数の部門、取引先との間で電子契約を採用している(N対N型)」の割合が大きくなっているということ。これまで一部の部門のみが電子契約を活用していた企業が多かったのですが、全社的あるいは複数の部門で電子契約を活用している企業が増えているのが近年の傾向です。単純に電子契約を導入している企業が増えているだけでなく、完全に電子契約へ移行する企業が増えていることを裏付けるデータであると言えます。

また、「電子契約を採用する予定はない」とする企業も16年では3割だったのに対し、18年は2割にまで減少。従来の契約のやり方を続けている企業であっても、電子契約に対する抵抗感が少なくなり、考え方に変化が起こっていると言えます。

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