電子契約と電子署名に関する主な法律

2019年09月25日(水)

目次

電子契約と電子署名に関する主な法律

普及の一途をたどる電子契約。まだ導入していない企業が二の足を踏む理由として、「法的効力があるのか?」「本当に証拠として取り扱われるのか?」というような懸念事項があることが挙げられます。

そこで、電子契約の関連法令の内容に触れつつ、電子契約の法的効力や証拠能力について見ていきましょう。建設業法や宅建業法など各事業法においても電子契約についての規定が定められていますのでご紹介します。

電子署名法

正式名称は「電子署名及び認証業務に関する法律」。2001年4月1日に施行されました。電子契約の根幹をなす重要な法律で、電子署名の定義や認定基準などが定められています。

また、裁判に書類を証拠として出すためには、その書類の作成者とされる人が実際にその書類を作ったこと(真正な成立)を証明する必要があります。

これは、電子契約書などの電子文書を証拠とする場合も同じです。上で述べた2001年に施行された電子署名法は、電子文書の真正な成立、すなわち、本人に依る作成に関する法律です。電子署名がついていれば、署名者本人が署名したこと(本人性)、確かに「この」電子文書を作成したこと(非改ざん性:署名対象の文書が改ざんされていないこと)を確認できます。

そこで、一定の条件を満たす電子署名があれば、本人による作成を推定することとされています。

第3条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

出典:電子署名及び認証業務に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=412AC0000000102

電子帳簿保存法

国税関連帳簿書類の電磁的記録による保存等を定めた法律です。一定の要件を満たせば国税関係書類を電子データで保存することを認める旨が定められていま す。国税関係書類とは具体的に見積書や契約書、注文書、領収書などが挙げられます。

この法律は一般企業にパソコンが普及しだした1998年に制定されました。今でこそ見積書や注文書などをパソコンで作って保存するのが当たり前となっていますが、以前は紙のものしか法的効力がありませんでした。

電子署名法で電子署名の効力が認められ、電子帳簿保存法で契約書をデータで保存することができるようになったからこそ、電子契約が可能になったのです。

(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1号~5号省略)
 電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。
(7号省略)

出典:電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特定に関する法律)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=410AC0000000025

e-文書法

正式名称は「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」。2005年に制定された法律で、電磁的記録による文書の保存や作成、縦覧、交付について定められています。電磁的記録という表現が仰々しく感じられるかもしれませんが、要はパソコンで作った文書の保存や確認の方法について決められているのだと考えていただければわかりやすいかと思います。

この法律が施行されたことで、これまで紙で保管することが義務付けられていた文書も電子データで保存できるようになりました。前述の「電子帳簿保存法」と似ていますが、国税関係書類だけでなく、貸借対照表や事業報告書、監査報告書、役員名簿、財産目録など、幅広い書類が対象となっています。この法律によって、ペーパーレス化が大きく前進しました。

(電磁的記録による保存)
第三条 民間事業者等は、保存のうち当該保存に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの(主務省令で定めるものに限る。)については、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の保存に代えて当該書面に係る電磁的記録の保存を行うことができる。

 前項の規定により行われた保存については、当該保存を書面により行わなければならないとした保存に関する法令の規定に規定する書面により行われたものとみなして、当該保存に関する法令の規定を適用する。

出典:e-文書法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16120041201149.htm

下請法

親事業者が下請事業者に対する優越的地位の濫用などを防止する下請法(下請代金支払遅延等防止法)。このなかで業務委託契約書などの書面の交付や作成・保存に関しても規定されていますが、こちらに関しても2001年に改正され、電子データの取り扱いについて定められました。

現在では「書類または電磁的記録」という記載がされていて、電子データでも対応できるようになっています。

下請法(下請代金支払遅延等防止法)

(書面の交付等)

第3条 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等した場合は,直ちに,公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容,下請代金の額,支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。ただし,これらの事項のうちその内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては,その記載を要しないものとし,この場合には,親事業者は,当該事項の内容が定められた後直ちに,当該事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。

親事業者は,前項の規定による書面の交付に代えて,政令で定めるところにより,当該下請事業者の承諾を得て,当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて公正取引委員会規則で定めるものにより提供することができる。この場合において,当該親事業者は,当該書面を交付したものとみなす。

出典:下請法(下請代金支払遅延等防止法)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2018/181101TXT.pdf

建設業法

建設工事の請負契約の内容を定めた建築業法の第19条では、建設工事の請負契約の当事者は工事内容や請負代金の額などを書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付することが義務付けられています。

この3項では相手の了承があれば書面の代わりにパソコンで作成したデータで契約ができ、その法的効力が生じることが認められています。

(建設工事の請負契約の内容)
第十九条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
 工事内容
 請負代金の額
 工事着手の時期及び工事完成の時期
 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十一 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十二 工事の目的物の瑕疵かしを担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十三 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十四 契約に関する紛争の解決方法

出典:建設業法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC0000000100#127

宅建業法

土地や建物の取引を行う業者を規制する宅建業法(宅地建物取引業法)にも電子契約に関する記載があります。第37条では不動産賃貸契約の際に書面を交付することが義務付けられていますが、定期借家契約を除いて契約書を電子データで代用することも可能とされています。

また、35条では重要事項説明を行った上で、重要事項説明書を入居者に対して書面で交付することが義務付けられていますが、これも電子データで代用可能となります。また、2017年には宅地建物取引士が対面で行っていた重要事項説明をオンラインで行うことも認められました。テレビ会議やチャットなどの活用が進み、契約書のやりとりだけでなく、契約手続き全体がより効率的なものになっていくでしょう。

第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、

又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

第三十七条 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、

その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。

出典:宅地建物取引業法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=327AC1000000176

以上で、電子契約と電子署名に関する主な法令とさせていただきます。

今回は、電子契約の関連法令の内容に触れつつ、電子契約の法的効力や証拠能力について見ていきました。詳細な出典に関しても掲載しておきましたので、詳しく知りたい方は各サイトでご覧いただければと思います。

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