【電子契約導入ガイド】導入のステップと注意点、サービスの選び方のポイント

2023年12月11日2024年01月30日

【電子契約導入ガイド】導入のステップと注意点、サービスの選び方のポイント

働き方改革やリモートワークが普及した背景もあり、電子契約とそれを行うシステムである電子契約サービスが注目を集めています。紙と印鑑を用いた従来の契約書に比べ、コスト削減を含めた業務効率の向上が見込める電子契約は、その高い利便性から今後ますます導入が進むと予測されます。「ペーパーレス化」や「脱ハンコ」を掲げる国や行政の後押しも、電子契約システムの導入を加速させるでしょう。

一方で「多数ある電子契約サービスの違いがわかりにくい」「自社への導入目的や活用法が不透明だ」と感じる方も多いのではないでしょうか。この記事ではメリットデメリットを含めた電子契約サービス導入の流れやポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

電子契約とは?導入のメリットデメリットと注意点

紙の文書として作成していた契約書をPDFファイルなどの電子文書で作成し、システム上で取り交わすのが電子契約書です。電子契約では署名捺印(記名押印)の代わりに電子署名とタイムスタンプを契約締結時に付与することで、紙と同様の法的効力のある契約を締結することができます。

電子契約の持つ代表的なメリットが業務の効率化とコスト削減です。
紙の契約書の場合、書面を作成後、押印や署名の各種手続きを経て、製本し相手に郵送しなければなりません。さらに契約相手の返送を待つため、時間がかかります。
しかし、作成した契約書をメールで送信してオンライン上で交わす電子契約であれば、このような契約書の送信に必要な手間や印紙税・夕総費用などのコストを削減することができます。

デメリットとしては、訪問販売や連鎖販売などの契約書に一部電子化できないものが含まれる点が挙げられます(※以前は不動産関連の契約書にも制限がありましたが、現在は撤廃されています)。しかし、それ以外に目立ったデメリットはありません。

注意点としては、個人事業主や一人法人の方を除いて契約業務の流れ(業務フロー)や社内規定を変更する必要があるため、導入にあたってこれらの調整が必要です。また、取引先にも電子契約導入を通知して操作方法やトラブル発生時の対処法(問い合わせ先など)を説明する必要があります。

電子契約導入の8つの手順

電子契約の導入にあたって行うべき作業を8つの手順にまとめてご紹介します。

これらの作業は、電子契約の導入・定着を混乱なく行うために大切です。ぜひ参考にしてください。

1.現状の契約業務の体制を把握する【契約書の作成・発送・保管など】

まずは現状の契約業務の運用方法、業務フローの把握からスタートしましょう。この作業は電子契約の導入効果の見極めと、社内ルールの改定に必要です。各契約書ごとに行われている稟議・確認作業に参加する決裁者と確認を依頼する順番、締結後の保管方法など、契約業務で行われている作業を細部まで把握し、箇条書きにして可視化しましょう。

この作業を行わないこの点をはっきりさせた上で新しい社内ルールを作成しなければ、「(これまで紙でやっていた)この作業は電子契約だとどうなるの?」という状況が多発し、電子契約の運用後に社内外のサポートに追われることになります。手を抜かずに細部まで把握するようしてください。

2.導入メンバー間で電子契約への理解を深める

社内プロジェクトとして電子契約を導入する場合は、まずはプロジェクトメンバーの電子契約に関する知識を高めましょう(個人事業主の方や担当者1人で導入を行う場合は担当者様が実施してください)。電子契約に関わる法律はもちろん、システムの仕組みや、社内規定や業務フローがどのように変わるのかなどをしっかりと確認する必要があります。

導入メンバーが電子契約について理解することは、導入による費用対効果の見極めや社内への定着を図るうえで非常に重要です。

3.費用対効果を見極める

まずは導入する際にメリットとデメリットをしっかりと考えましょう。業務効率化やコスト削減できる、印紙税を節約できるなどの数々のメリットが電子契約にはありますが、導入コストがかかるというデメリットもあります。

コスト削減を目的に導入したはいいけど、使う機会がほとんどなかったでは、かえってコストがかかってしまうことにもなりかねません。契約書の作成頻度や郵送回数、作業時間、管理にかかるコストなどを算出して、費用対効果をしっかり見極めましょう。

4.電子契約の導入範囲を決める

社内の契約書をすべて電子化するのかどうかの検討も大切なポイントです。特に導入当初は、自社と取引先双方が不慣れなため、調整に手間取ると予想されます。社内でも電子契約運行ルールが浸透するまではある程度の時間がかかるでしょう。そのため、どの契約書を対象にするのかを限定し、一部からスタートすることをおすすめします。

最初は、契約金が少額など重要度の低い文書から電子契約書に切り替えます。重要度が低い文書で新たな業務フローにある程度慣れてから、導入範囲を広げていくと混乱なく電子契約を定着させることができます。

5.使用する電子契約サービスを選定する

自社の契約書運用の現状を見据え、目的やニーズおよび導入範囲が定まったら、実際に使用する電子契約サービスを選定しましょう。
現在展開する電子契約サービスの多くが、一定の月額料金+契約書の送信数に応じた従量課金のシステムを採用しています。従量課金は送信1件毎に220円(税込)が相場です。1カ月あたりどの程度の契約書を送付するかで料金が変わるため、自社の平均的な送信件数を調べて大まかな利用金額を計算しましょう。

ちなみに、一定件数まで従量課金が無料の電子契約サービスや、従量課金を設けていないサービスもあります。
例えば、月額1,980円から使える安価な電子契約として知られるクラウドコントラクトは各プラン毎の締結可能件数以内であれば従量課金が発生しません(超過分の従量課金も1件30円とリーズナブルです)。ほかの例としては、月額22,000円~と基本料金が高額な代わりに従量課金が一切無く、ユーザー数やデータの保存容量に応じて追加料金が発生するシステムを採用しているペーパーロジックが挙げられます。

料金以外の選定のポインは機能です。電子契約サービスには、稟議機能(契約書送信前に決裁者のチェックを挟み、決裁者が許可したら取引先に契約書が送信される機能)や、複数の取引相手への一括送信機能、3社間契約などの複数者間契約機能、ほかのITツールとのAPI連携機能など、サービス毎に様々な機能が用意されています。
しかし、実際に使用する機能は企業毎に限られてくることが一般的であるため、自社に不要な機能が付いたサービスを利用するのはコスト削減の観点からおすすめできません。

電子契約各社のサービスは、それぞれ強みや特徴が異なります。
高機能で利用料金も高額なサービス、機能がシンプルで料金もお手頃なサービス、必要な機能を個別に自社で追加してオーダーメイドのシステムを用意できるサービスなど、様々な特色がありますので、一度試してから導入することをおすすめします。
実際、多くの電子契約サービスがお試し用のフリープランを用意しています。気になったサービスには一度登録し、実際に使って自社に合ったサービスを選びましょう。

注意:完全無料の電子契約は使ってはいけない!

電子契約サービスには、利用料金が完全無料のサービスもあります。このようなサービスはコスト面では魅力的なものの、電子文書の存在した日時を証明するタイムスタンプサービスが提供されないなど、法的効力に難点があるためおすすめできません。

電子契約サービスのタイムスタンプは各社が提携している認証局(例:アマノセキュアジャパン)から発行されていますが、これらは当然有料であるだけでなく従量課金制であり、各電子契約サービスにとってはサービス提供上の原価となっています。よって、仕組み上、無料でタイムスタンプ付きの電子契約が提供されることは考えられません。

契約はビジネスにおいて非常に重要な行為ですので、過剰なコスト削減意識は持たず、有料サービスを選ぶようにしてください。

6.社内ルールと業務フローを整備する

電子契約を導入する際は、契約業務に関する社内規程の見直しを行う必要があります。社内規定に電子文書を使った契約を認める文言を加える(もしくは変更する)作業を行い、社内で正式に電子契約を使えるようにしましょう。

業務フローも変更が必要です。マニュアルがある場合は、紙書類での契約における「封筒に入れて郵送」は不要となりますので、「メールで送付」に書き換えます。上長の承認を得る方法は、従来のように座席まで持参するのではなく、「稟議機能(ワークフロー機能)を用いてメールで送付」に変更する必要があります。

マニュアルがない場合は口頭で変更を伝えれば解決しますが、トラブル防止やほかの社員からの問い合わせ対応による無駄な仕事の発生を防ぐ観点から、これを機にマニュアルを作成して細かい仕様や業務フローの変更を誰もがわかる形で残しておくこともおすすめです。

7.契約書の文章を電子契約に適した文言に変更する

紙の契約書で使用される表現や規定には電子契約にそぐわないものがあるため、契約書の文言を変更する必要があります。

例えば、「署名捺印」「記名押印」を「システム上で締結」に変更する、慣例的に使われている「甲乙ともに1通ずつ保管し」のような表現を削除する(※2022年の電子帳簿保存法の改定により、電子契約で締結した契約書は電子データのまま保管するルールになりました)といった対応が必要です。

8.社内と取引先へ周知させ定着を図る

1~7までの手順を進め、電子契約サービス導入の準備が整ったら社内および社外向けへのアナウンスを行います。電子契約導入を伝えるのはもちろん、運用開始日やサービスの使い方まで徹底して周知する必要があります。

新システム導入には手間も時間もかかるものです。場合によっては電子契約サービス運用にネガティブな意見も聞かれるかもしれません。まずは社内外双方に向け、なぜ、電子契約サービスを導入するに至ったのか、メリットや目的、ニーズなどを丁寧に説明します。そのうえで理解を得られるようリーダーシップを持って進めていきましょう。
電子契約サービスの中には、顧客向けに説明会を行っているケースもあります。また、そうでなくても実際に電子契約に携わる専門家が丁寧に説明や支援をしてくれるので、不安や疑問が生じたら必ずサポートに問い合わせるようにしてください。

自社に合う電子契約システムを選ぶ6つのポイント

業務効率化やコストカットなど、電子契約サービスには多くの利点があります。ただ、電子契約の導入を検討しても、それぞれの特徴やサービスの違いが今ひとつわかりにくいのが現状です。しかし、自社のニーズや導入目的に合致する電子契約サービスを選ばなければ、満足のいく運用は行えません。

では、自社に最適な電子契約サービスを選ぶにはどういった点に着目すればいいのでしょうか。コストパフォーマンスをはじめ、法的効力やセキュリティ面などサービス選択において重視すべき6つのポイントは次のとおりです。

1.費用対効果【コスト&効率化で判断】

削減できる印紙税や契約書の郵送費用などの可視化できるコストと、業務効率化による人件費の削減、生産性の向上といった目に見えないコストパフォーマンスの両方で費用対効果を判断しましょう。
一般的に、電子契約では紙の契約書で発生していた作業の50%〜55%を削減できるとされています。

※安い電子契約サービスをお探しの方は以下の記事をご覧ください。
【安い電子契約】月額1万円以下で使える会社を紹介!実費ランキングで最適なシステムを探せます

2.契約書の法的効力【締結日時&本人証明・改ざん対策】

タイムスタンプと電子署名が法的効力の担保に必須の機能です(これらは契約書の締結日時と締結者の証明と改ざん対策を担います)。電子証明書は本人証明をより強化する機能ですが、費用が高額であるため大企業以外には適していません。

3.安全性【セキュリティ機能】

システムが行っている不正アクセスなどへの対策を確認しておきましょう。なお、本人認証機能を有するサービスもありますが、費用が高額になるため、個人事業主や中小企業の方には不要です。大企業の方であれば検討をおすすめします。

4.自社の利用用途との適合性

とにかく契約業務を効率化したい、コストを削減したい、というニーズと、自社ですでに導入している様々なシステムと連携させて高度なデジタル化を推進したいというニーズでは、適した電子契約サービスが変わってきます。
まず、自社が電子契約によって何を実現したいのかを言語化することが大切です。

5.システムの違い【立会人型or当事者型】

電子契約には、手軽に利用できてコストパフォーマンスにも優れる立会人型と、より強固な安全性を持ち、費用が高額な当事者型があります(※主流は立会人型のサービスであり、決して必要な水準の法的効力やセキュリティを有していないわけではありません)。
個人事業主や中小企業の方は立会人型の電子契約が、大企業の方は当事者型の電子契約がおすすめです。

6.サービスの主要なターゲット層

電子契約サービスの料金や機能が各社で異なっている背景の1つに、ターゲットとしている事業者の業種や規模の違いがあります。
例えば、業界で知名度が高いクラウドサインが全規模全業種の事業者をターゲットにしているのに対し、使いやすさで選ばれているクラウドコントラクトは、中小企業向けに使い勝手の良さと高いコストパフォーマンスがウリの電子契約を提供しています。

電子契約サービス選びのポイントは以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

【電子契約サービスの選び方】注意すべきポイントをわかりやすく解説

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