債権譲渡契約書は電子契約できる?電子化の方法や無料テンプレートをご紹介!

2025年10月09日2025年11月21日

債権譲渡契約とは

債権譲渡契約とは、債権者(譲渡人)が有する特定の債権を第三者(譲受人)に譲渡する際、その取引条件や手続き、債権の内容を明確に取り決める契約です。債権譲渡は、企業間取引での資金調達やリスク分散、債権管理の効率化を目的として行われることが多く、この契約が譲渡人と譲受人双方の権利と義務を保護する役割を果たします。

債権譲渡契約は、債権者がキャッシュフローを改善する手段としても活用され、特に企業の資金繰りを円滑にするための有効な手法です。契約書を通じて譲渡の条件を明確化し、取引の透明性と法的安全性を確保することが成功の鍵となります。

債権譲渡契約書に含める主な項目

債権譲渡契約書には、譲渡される債権の内容(売掛金など)、譲渡価格、譲渡の条件、責任範囲、債務者への通知義務などが具体的に記載されます。法的に有効で、契約後のトラブルを防ぐためにも、以下の項目を網羅することが重要です。

1. 契約の当事者

・譲渡人(債権を譲り渡す人): 氏名または名称、住所。
・譲受人(債権を譲り受ける人): 氏名または名称、住所。

2. 譲渡する債権の特定(特に重要)

・債権の種類: (例:売掛金債権、貸金債権、請負代金債権など)
・発生原因: 債権が発生した原因となった契約や取引。(例:〇〇年〇月〇日付契約に基づく売掛金)
・債権額(元本): 譲渡する債権の金額。(例:金1,000,000円)
・債務者(第三債務者): 誰に対する債権か。(例:〇〇株式会社)
・弁済期: 債権の履行期限。(例:〇〇年〇月〇日)
・その他付随する権利: 利息、遅延損害金、担保権(根抵当権、質権など)があれば、それも譲渡対象に含めるか否か

3. 債権譲渡の合意

譲渡人が上記の債権を譲受人に譲渡し、譲受人がこの債権を譲り受ける旨の意思表示。

4. 譲渡対価

・譲渡する債権の対価として、譲受人が譲渡人にいくら支払うか。(例:金900,000円)
・対価の支払方法、支払の期限。

5. 対抗要件の具備

・債務者への通知または承諾:第三者や債務者に対抗するために必要な手続き(民法第467条)を明記します。
 *通知の場合: 誰が(譲渡人か譲受人か)、いつまでに、どのような方法で(確定日付のある証書、通常は内容証明郵便)通知するかを定める。
 *承諾の場合: 債務者から承諾を得る方法を定める
・譲渡人による協力義務: 譲渡人が通知手続き等に協力する義務を明記します。

債権に関する表明及び保証(重要)

・譲渡人が債権を適法かつ有効に有していること。
・譲渡する債権に、相殺、同時履行の抗弁権、解除権などの抗弁事由がないこと。
・譲渡する債権に、質権、譲渡担保権、差押えなどの負担がないこと。
・債権額に間違いがないこと。

7. 費用負担

・契約書作成費用、債務者への通知費用、公証人費用などの負担者を定めます。

8. 契約解除

・契約違反があった場合の契約解除について定めます。

9. 準拠法・合意管轄

・万が一、契約に関する紛争が発生した場合の、裁判を行う裁判所(合意管轄裁判所)を定めます。

債権譲渡契約書は電子契約できる?

債権譲渡契約書は、法律上、書面での締結が義務付けられていないため、電子契約で締結することが可能です。電子署名やタイムスタンプを利用することで、紙の契約書と同等の効力を持たせることができます。

債権譲渡契約書を電子化するメリット

債権譲渡契約書の電子化は、迅速な締結や管理の効率化だけでなく、二重譲渡の防止やセキュリティ強化といった特有の利点もあります。特に企業間取引が活発で債権管理が複雑な場面では、電子化のメリットが最大限に発揮され、取引の透明性と信頼性を高める重要な手段に繋がります。

1. 管理の効率化(二重譲渡の防止)
債権譲渡契約書には、譲渡される債権の内容や条件が明確に記載されますが、これを電子化してクラウドで一元管理することで、債権の重複譲渡や譲渡済み債権の誤認リスクを軽減できます。さらに、検索機能を活用し、契約書や債権情報を瞬時に確認でき、業務の効率化につながります。

2. 法的効力の強化
電子署名やタイムスタンプを付与することで、契約書の改ざんを防止し、法的効力を強化できます。債権譲渡契約では、後々のトラブルや紛争を防ぐための証拠能力が重要であり、電子化により、その信頼性を高めます。

3. 債務者への通知や記録の自動化
債権譲渡では、譲渡先を債務者に通知することが法律上必要です。電子契約を活用することで、契約書作成と同時に通知プロセスを自動化したり、記録を簡単に管理したりすることが可能です。この自動化は、手作業によるミスを防ぐだけでなく、業務負荷を軽減します。

4. セキュリティと機密性の向上
債権譲渡契約書には、譲渡する債権の詳細や金額など、機密性の高い情報が含まれます。電子化により、アクセス権限の制御やデータの暗号化が可能となり、不正アクセスや情報漏洩を防ぎます。

債権譲渡契約書を電子化する方法

債権譲渡契約書を電子化については、現在、契約書のフォーマットがある場合には、一部の文言を電子契約に対応するよう修正すればそのまま使うことができます。

変更ポイント

●「書面による承諾」等の記載がある箇所の文言を変更
例:書面:書面による承諾が無い限り
電子契約:書面または双方が合意した電磁的措置による承諾が無い限り

●末尾文言(本契約の成立の証として、以降)を変更
例:書面:本書2通を作成し、各自記名押印の上、各1通ずつ保有する。
電子契約:本電子契約書ファイルを作成し、それぞれが電子署名を行う。
なお、本契約においては、電子データである本電子契約書ファイルを原本とし、同ファイルを印刷した文書はその写しとする。

●押印欄を削除(任意)
電子契約では、押印・捺印は不要となるため、電子契約サービスを使用する場合は、契約相手の操作の負担になる可能性も考慮しできるだけ削除したほうが良いでしょう。
※これはあくまでも契約相手への考慮となるので、本来は押印・捺印が不要な電子契約でも、契約をした目印にしたい等の場合は削除せずとも問題ありません。

債権譲渡契約書の電子契約用 無料テンプレート

既に債権譲渡契約書の自社用のテンプレートをお持ちの方は、書類の内容を少し調整するだけで簡単に電子契約で使用できますので、当記事をお役立ていただければ幸いです。

これから債権譲渡契約書の作成をされる方もご安心下さい!
当サイトでは、電子契約用に調整した契約書テンプレートをご用意しておりますので、ぜひこちらもご活用頂ければ幸いです。

※上記ファイルは、あくまでも電子契約用に調整した契約書のサンプルとなりますので、ご利用については弊社では責任を負いかねます。必ず専門家へご相談頂き、内容を自社用に変更・カスタマイズした上でご使用下さい。

電子契約サービスの選び方

債権譲渡契約書は電子契約できる書類なので、電子契約サービスを導入することで契約で発生するコストや手間の削減、業務効率改善が叶うかもしれません。
当サイトでは、ニーズ別に電子契約サービスをご紹介していますので、以下記事もぜひご参考下さい。

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