2025年01月30日2025年02月04日

紙の契約書に印鑑を押すのではなく、インターネット上で電子ファイルに押印・署名をして契約を締結できる電子契約。経費の削減、業務の効率化、管理の簡単さなど、数多くのメリットを持つことで近年では普及を続けています。この電子契約には国内だけで20社以上のサービスがあり、費用相場もさまざまです。そこで本記事では、電子契約の費用内訳や費用相場、サービス内容などをわかりやすく解説します。
電子契約サービスの費用の内訳
電子契約サービスの月額費用は、以下の3タイプにオプション課金を加えたタイプに分類された中に含まれます。
- 無料タイプ
- 定額料金タイプ
- 従量課金タイプ
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- オプション課金
ここからは、各タイプの特徴やメリット・デメリットなどを紹介します。
無料
電子契約を料金完全無料で利用できるサービスです。
紙と印鑑による契約を電子契約に移行させたいと考えたとしても、「電子契約サービスの利用には費用がかかるのでは……」と二の足を踏んでいるユーザーにとっては最適な選択肢です。ただ利用料金がかからないといってもデメリットはあります。それは、完全無料で利用できるサービスでも使用できるサービス内容に制限がかかることです。例えば、登録できるアカウント数が限定されていたり無料で利用できる電子契約書の月間通数に制限がかかったりすることです。
そのほか、社内承認フローの機能や締結した電子契約の一覧管理・検索といった機能が利用できないサービスもあります。
ただ、契約から一定期間、無制限に機能を試用できる電子契約サービスもありますので、電子契約を始める際のお試し版として導入するのも良いでしょう。
この項目についてより詳細な記事はこちら
【0円!】電子契約サービス13社の詳細比較表
定額料金型
定額料金型は、月々定額料金で電子契約を利用できるサービスです。
月額費用はサービスにより異なりますが、月1万円~月2万円程度ですべての機能を利用できるようになります。ただし、利用できる機能が多いほど、月額費用が高額になることが多くなっており、逆に金額が安いプランになると、電子署名やタイムスタンプの追加1回ごとや文書送付1通ごとなど、サービスを利用する度に追加費用が発生することがあります。
ただこの定額料金型は、必要な費用が月々定額で、提供しているすべての電子契約サービスを利用できるため、必要経費を月ごとに変動させたくない会社には適しています。
従量課金型
従量課金型は、一契約ごとに利用し利用回数ごとに料金が変わってくる電子契約サービスです。
利用料金は、月々の基本料金に加え、文書送付1通につき100~200円程度、電子署名1回につき200~300円程度など、利用数に応じた料金がかかります。また、ユーザー数や送信数、締結した文書の保管数などに応じても料金が加算される場合があります。
このように電子契約の契約件数や利用回数に応じて月額料金が決まるため、契約ユーザー数や社員数が少ない会社におすすめのサービスといえます。月ごとに電子契約サービスの利用数が大きく変動する場合にも適しているでしょう。
オプション課金
電子契約サービスによっては、オプション料金を設けているところがあります。基本機能にプラスしたいオプション機能があれば追加する形になりますが、機能ごとに月額費用に追加されます。具体的には以下のようなオプションが用意されています。
- 内部統制・セキュリティ機能(承認権限設定、IPアドレス制限など)
- 書類管理機能(書類情報の管理、AI契約書管理機能など)
- 複数部署管理機能(キャビネット、メンバーグループなど)
1オプション機能あたり数百円程度から利用できますが、安いからといって不要なオプションまで選ばないようにしましょう。
電子契約は相手側にも費用発生するの?
電子契約サービスには、2タイプが用意されています。
その2タイプとは、事前に必要な確認を行うことで相手側に費用が発生する「当事者署名型」と、事後に本人確認情報の収集を行ことで、電子契約を送信する自社側のみ費用負担が発生する「立会人型(事業者署名型)」です。どちらのタイプを選ぶかは、取引先との関係性のほか、コストや契約の重要度などを鑑みて判断するようにします。
この項目についてより詳細な記事はこちら
「立会人型」の電子署名は法的に有効!「当事者型」との違いも解説
当事者型署名
「当事者型署名」の電子契約は、契約を行う当事者が電子署名を付与する電子署名方法をとっています。
電子証明書にはオンライン上のやり取りで使用される認証局発行の電子的な身分証が用いられ、従来型の「立会人署名型(事業者署名型)」よりも本人性が高い契約を締結できます。
ただデメリットとして、電子証明書の発行に関する手間やコストがかかることが挙げられます。そのため、契約締結までのスピード感や手軽さは「立会人型署名(事業者型署名)」よりも劣るようになります。
電子証明書の発行費用
電子証明書における電子署名の本人性を担保する役割を持つ機関として、主に法務省が運営しているブリック認証局と、個人や民間企業が独自に設立したプライベート認証局の2つがあります。信頼性の高い電子契約をしたいときには、これらいずれかの認証局から発行される電子証明書が必要となります。
この電子証明書の発行費用は発行する認証局ごとに定められているため、発行する認証局によって異なります。例として、商業登記に基づく法務省の電子証明書の手数料を下記に記載します。
証明期間 | 手数料 |
3か月 | 1,300円 |
6か月 | 2,300円 |
9か月 | 3,300円 |
12か月 | 4,300円 |
15か月 | 5,300円 |
18か月 | 6,300円 |
21か月 | 7,300円 |
24か月 | 8,300円 |
27か月 | 9,300円 |
立会人型署名
「立会人型署名」は、電子契約を提供する電子契約サービスの事業者が署名者に対して電子署名を付与します。
利用者の間に電子契約サービスの事業者が立ち、両者の契約締結を立ち会う形で契約が行われていきます。なお、この「立会人型署名」は「事業者型署名」と呼ばれることもあります。
「立会人型署名」は本人確認がメールアドレスのみで済むため、「当事者型署名」よりも手軽に始められ、取引先はコストもかからないというメリットがあります。反面、デメリットとしては、なりすましや不正にログインされる可能性があるなど、セキュリティ面に不安が残ることが挙げられます。
電子契約サービスの費用相場はいくらなの?
電子契約サービスには無料で利用できるものがあれば月額数万円かかるものまで、利用できるサービスによって料金は千差万別です。そこでここからは、電子契約サービスの費用相場を紹介します。
1ヵ月あたりの利用料金
電子契約サービスは選ぶサービスによって費用も大きく変わってきますが、サービスを利用する際にかかってくる費用には大きく分けて初期費用と運用の際にかかるランニングコストがあります。そしてランニングコストは、固定費として月額基本料金がかかってきます。この月額料金は前述したように、「無料タイプ」「定額料金タイプ」「従量課金タイプ」に分かれます。
また、電子契約書を送信する際の1件あたりの送信料や締結時の1通ごとの電子署名やタイムスタンプの追加費用が必要になる場合があります。そのほか、オプションを利用するのであれば、別途、オプション課金費用も必要になります。これらをトータルした金額が電子契約サービスを利用する際の1ヵ月あたりの利用料金となります。
月額基本料金 | 2,000円~10,000円 |
---|---|
送信料(/件) | 無料~300円 |
電子署名・タイムスタンプ 追加費用 |
100~300円 |
その他オプション費用 | 数百円~数万円 |
電子契約サービスを導入するメリット3つ
電子契約サービスを導入することで、導入した会社にメリットが生じます。そのメリットはいくつもありますが、大きく分けると「コスト削減」「業務の効率化」「保管と管理の楽さ」という3つといえます。ここからは、3つのメリットの内容を解説します。
コストが削減できる
電子契約サービスを導入することによって、紙の契約書で必要になっていた用紙代やインクなどの事務用品費、契約書送付に必要となる郵送費も不要になります。また、契約書の印刷や製本、郵送の作業も不要になるので人件費も削減することができます。そのため、コストを大きく削減できるのです。
このコストの中で最も削減効果が大きいのは印紙税です。紙で契約する場合には、契約書の種類や取引する金額に応じて、収入印紙を添付し印紙税を納付する必要があります。しかし電子契約では、収入印紙の添付が不要になります。継続的取引の基本となる契約書では1通あたり4000円の収入印紙が必要となりますが、それが不要になることで、大きなコスト削減が期待できるでしょう。
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収入印紙はなんのため?収入印紙が必要となる書類や金額、印紙税の歴史について解説!
【今さら聞けない】電子契約は本当に印紙税が必要ないの?法的根拠を紹介
業務が効率化できる
紙で行う書面契約では、契約書の印刷や製本、郵送、先方からの返送を含めると、締結するまでに数日が必要になります。しかし電子契約であれば、一連の作業をオンラインで完結できるため、業務の効率化につながります。同時に、郵送のタイムラグがなくなり、契約締結までのスピードも速くなります。
また、紙で行う書面契約で必要となる手作業では、ヒューマンエラーが発生する可能性があります。しかし電子契約では、すべての手作業が不要となりますので、ヒューマンエラーの削減にもつながります。
契約書の保管と管理が効率的にできる
紙で行う書面契約の場合、契約書をファイルなどに保管し管理する必要があります。 そのため管理の手間がかかるほか、契約書が増えてくれば保管スペースも必要になってきます。その点、電子契約であれば、契約書のファイルをサーバーやクラウドストレージなど、オンライン上に保管し管理できるため、保管のスペースは必要なくなります。また、電子契約書にわかりやすいファイル名を設定しておけば、契約書のファイルがいくら多くなったとしても検索に手間がかかりません。
電子契約が利用できない場合はあるの?
数多くのメリットを持ち、とても便利に感じる電子契約。ほとんどの契約書は電子契約化が可能となっていますが、ごく一部の契約書は法律により電子契約化できません。次の項目では、書面での契約が必須となっているものを解説します。
法律で書面契約が必須となっているもの
電子契約が当たり前になりつつある契約書ですが、すべての契約書を電子契約化できるわけではなく、電子契約を利用できず書面での契約書が必要なものや、契約相手に事前に承諾や希望が必須の条件となっているものもあります。具体的には、以下の契約がそれに当たります。
【電子契約できない契約】
- 事業用定期借地契約(借地借家法23条)
- 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約(企業担保法3条)
- 任意後見契約書(任意後見契約に関する法律3条)
電子契約ができない理由
上記の契約書を電子契約化できない理由には、以下のような2点が挙げられています。
・契約上、紙面での公正証書の作成が義務付けられているから
事業用定期借地契約や、企業担保権の設定又は変更を目的とする契約、任意後見契約に関しては、公証人法により、公正証書およびそれに関わる書類は電子化が認められていないからです。ただ将来的には、公正証書の電子化が認められる可能性もあります。
・電子契約に相手の事前承諾や希望が必須となるから
建設工事の請負契約や下請との受発注書面、訪問販売などの特定商取引に関する契約書書、労働条件通知書や派遣社員の条件明示書面などは、法律上で電子化は禁止されていないので、事前に相手の承諾や希望を得ることで、電子契約での契約締結や電磁的方法での書面の交付が可能となります。
おすすめの電子契約比較表
ここまで、電子契約サービスの費用についてはいくつかの仕組みに分かれていることを解説してきました。ここからは、実際に提供されている電子契約サービスを比較します。
電子契約サービス12社の詳細比較表
【5001円〜】電子契約サービス12社の詳細比較表
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サービス名 | クラウドコントラクト | 電子印鑑GMOサイン | クラウドサイン | freeeサイン (法人用) |
Jinjer サイン | FAST SIGN | BtoBプラットフォーム 契約書 |
契約大臣 | Great Sign | クラウド契約管理Sign | かんたん電子契約 forクラウド |
サインタイム |
プラン名 | スタンダードプラン | 契約印&実印 プラン |
ライトプラン | ライトプラン | ライトプラン | ライトプラン | シルバープラン | ベーシックプラン | ライトプラン | 基本プラン | ビジネス版Ⅱ | ビジネスプラン |
料金 | 8,228円 | 9,680円 | 11,000円 | 5,478円 | 11,000円 (+初期費用55,000円) |
11,000円 (タイムスタンプは別途3,300円) |
11,000円 | 6,050円 | 8,580円 | 11,000円 | 11,000円 | 8,668円 |
締結可能件数 | 100件まで無料 (以降33円/件) |
無制限 | 無制限 | 50件 | 無制限 | 100件まで無料 (以降220円/件) |
無制限 | 50件 | 無制限 | 10件まで無料 | 無制限 | 50件 |
従量課金 | なし | 110円/件 | 220円/件 | 220円/件 | 220円/件 | なし | 55円/件 | 220円/件 | 165円/件 | 11件以降従量制 (1,100円/10件, 41件以降は880円/10件) |
110円/件 | なし |
契約1件あたりの 料金 |
82円 (最安値!) |
206円 (100件/月で計算) |
330円 (100件/月で計算) |
329円 | 330円 (100件/月で計算) |
143円 | 165円 (100件/月で計算) |
341円 | 250円 (100件/月で計算) |
195円 (100件/月で計算) |
220円 (100件/月で計算) |
173円 |
電子署名 タイムスタンプ |
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アカウント上限 | 10アカウントまで無料 (以降追加550円) |
無制限 | 無制限 | 1アカウント | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 1アカウント | 無制限 | 無制限 |
相手方の アカウント登録 |
不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 必要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
文書保管検索機能 | ![]() |
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サポート | 電話・メール チャット・Web会議 |
電話・メール チャット |
チャット | メール | メール チャット |
電話 メール |
メール チャット |
電話・メール チャット |
電話 メール |
電話 メール |
なし | メール |
※契約1件あたりの料金は、小数点以下を切り捨てて表記しています
電子契約費用についておさらい
電子契約サービスの月額費用はサービスにより異なりますが、月1万円~月2万円程度ですべての機能を利用することができます。その月額費用については、以下、3タイプのいずれかにオプション課金を加えた種類に分類されます。
- 無料タイプ
- 定額料金タイプ
- 従量課金タイプ
+
- オプション課金
電子契約サービスを導入することで、「コスト削減できる」「業務の効率化できる」「保管と管理が楽」というメリットを受けられるようになります。電子契約の費用内訳や費用相場、サービス内容などを理解した上で、自社に合ったサービスを採用するようにしましょう。
この項目についてより詳細な記事はこちら
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