2020年09月01日2026年04月09日
電子契約の「立会人型」と「当事者型」。どちらがいいのか、何が違うのか、立会人型だと法的な効力がないのか?など、疑問を感じたことはありませんか?今回は、この2つの違いや選び方をわかりやすくご紹介します。
電子契約の種類
電子契約には、「当事者型」と「立会人型」があります。
「立会人型」の電子契約は、事業者署名型とも呼ばれ、メール認証を用いて、クラウド・WEB上で手軽に利用できる形式のもので、当事者型は実印相当の法的証拠力をもたせるために公的認証局の電子証明書を用いて契約を行う形式のものとなっています。
クラウドを使った「立会人型」の電子契約が登場するまで、電子契約を結ぶ企業は「当事者型」の手法で電子契約を行っており、かつては「当事者型」こそが正統派という空気もありましたが、2020年に総務省・法務省・経済産業省は「電子署名法第3条に関するQ&A」で、メールアドレスの管理などの一定の条件を満たせば、立会人型(事業者署名型)でも法的な推定効(本人が契約したという強力な証拠力)が認められるとの見解を示したことで、一気に普及が進みました。
「当事者型」と「立会人型」の違い
電子契約の当事者型と立会人型の一番の違いは、「誰が本人であることを証明するか」という点です。
当事者型 = 「実印」のイメージ
当事者型では、当事者本人があらかじめ「電子認証局」から発行された電子証明書(印鑑証明書のようなもの)を取得し、それを使って署名します。厳重にハンコを押すようなイメージで、本人性が非常に高く、なりすましが困難ですが、契約の相手方にも証明書の取得を求める必要があるため、立会人型に比べると手間とコストがかかります。
立会人型 = 「認印やサイン」のイメージ
電子契約サービスの提供会社やシステム提供会社が、利用者の指示を受けて「この人が承認しました」というログと共に電子署名を付与します。電子契約サービスのプラットフォーム(第三者)が、「この人が確かにハンコを押しましたよ」と横で証明(立会い)してくれるイメージで、当事者型に比べると手軽でコストも安い傾向があります。
「当事者型」と「立会人型」の比較表
| 特徴 | 立会人型 | 当事者型 |
|---|---|---|
| 手軽さ | ★★★★★ メールだけでOK |
★★☆☆☆ 事前準備・時間が必要 |
| コスト | 低い 相手は無料で使えるケースが多い |
高い 証明書の発行代等がかかる |
| 証拠の強さ | 十分強い メールログ等で証明 |
最強 実印レベルの証拠力 |
| 署名主体 | 電子契約サービス運営会社 | 本人 本人の電子証明書 |
| 本人確認 | メール認証等 | マイナンバーカード等 |
| 普及度 | 個人事業・中小企業 での利用が多い |
中堅・大手企業・特定の業種 での利用が多い |
普及率・導入数の状況(2025年時点の傾向)
正確な全社統計は公表されていませんが、民間の調査(JIPDEC等)や市場の動向をまとめると、立会人型が主流となっています。
立会人型:圧倒的な「社数」と「送信数」
クラウドサインやGMOサインなど電子契約の主要なサービスの多くが「立会人型」をベースとしており、導入企業の社数や、日々やり取りされる契約書の通数ではこちらが圧倒的に多くなっています。
当事者型:着実な「利用率」の拡大
JIPDECの調査等では、近年「当事者型」を併用・利用する企業の割合が増えており、2025年予測では回答企業の約3割近くが当事者型を利用しているというデータもあります。
出典|JIPDECとITRが「企業IT利活用動向調査2025」の結果を発表
出典|JIPDEC「企業IT動向」分析レポート『IT-Report』
立会人型が人気な理由
今、世の中の電子契約の多くは「立会人型」です。その最大の理由は、相手に費用や準備を求めなくていいからです。
当事者型だと、契約相手にも「あらかじめ数千円払って、証明書を取っておいてください」とお願いしなければなりません。しかし、立会人型であれば、相手は準備も費用もが不要で、メールのURLをクリックするだけで完了するので、スムーズに仕事が進みます。
普及の背景
当事者型は、相手側も「電子証明書(印鑑証明のようなデータ)」を取得し、数千円〜数万円のコストを払う必要があります。これでは新規の取引先に「電子契約でお願いします」と言い出しにくいため、相手がメール認証だけで署名できる立会人型が選ばれてきました。
ネットワーク効果
「A社が使っている●●●(立会人型)なら、B社もすぐに署名できる」という連鎖が起きやすく、プラットフォームとしての普及スピードが非常に早かったのが特徴です。
電子署名法第3条の解釈
政府の公式見解により、サービス事業者が利用者の指示で行う署名も、一定の技術的要件を満たせば「本人の意思による署名」として認められることが明示されたため、安心して導入する企業が増えました。
なぜ今、当事者型が伸びているのか?
一方で当事者型の利用率が伸びているのは、「当事者型と立会人型のどちらも利用できるサービス」が増えたのと、「適材適所」の考え方が浸透したからです。
ハイブリッド運用の一般化
ひとつのシステムで「普通の契約は立会人型」「重要な契約は当事者型」と切り替えられるサービスが増えたため、これまで「紙」で残していた重要書類を当事者型で電子化する動きが増えていると考えられます。
建設・金融業界のDX化
もともと書面義務が厳しかった業界(建設業法や金融関連)では、より証拠力の高い当事者型から導入が始まったため、この業界内での普及が数字を押し上げています。
「立会人型」と「当事者型」のどちらを選ぶべき?
電子契約を導入する際、「立会人型」と「当事者型」のどちらを選ぶべきかは、「その契約が万が一裁判になった際、どれだけ強力な証拠が必要か」というリスクの大きさと、「相手にどれだけの手間を強いていいか」という利便性のバランスで判断することをおすすめします。
1. 契約の「重要度」と「リスク」で選ぶ
基本的には、金額が大きく、トラブルになった際のダメージが甚大なハイリスクな契約については「当事者型」、リスクの低い一般的な契約や締結を必要としない書類の交付については「立会人型」がおすすめです。
当事者型(ハイリスク向け)
- 1億円を超えるような超高額な取引
- 銀行融資や金銭消費貸借契約
- 社運をかけた重要なM&Aや資本提携
立会人型(日常・中リスク向け)
- 一般的な業務委託契約
- 秘密保持契約(NDA)
- 売買契約、賃貸借契約
- 雇用契約書、入社承諾書
- 契約書ではなく交付が必要な書類
2. 相手方の「ITリテラシー」と「手間」で選ぶ
電子契約は相手に署名してもらわなければ成立しません。相手の負担を考えるのが実務上の最優先事項となります。
立会人型が適しているケース
- 不特定多数、あるいは多くの会社と同じ契約を行う場合
- 相手に費用負担や、電子証明書(数千円〜数万円)の取得をさせたくない場合
- スピード重視の場合(メールですぐに完結)
当事者型が許容されるケース
- 相手もすでに電子証明書を持っており、慣れている場合
- 建設業界や金融業界など、業界ルールで厳格な本人確認が求められる場合
まとめ
政府から「立会人型」の電子契約が法的に有効であることが示されたことによって、万が一訴訟が起きた場合でも、電子証明書を証拠として提出できるようになりました。このことが脱ハンコと電子契約の普及を推進する上で、大きな追い風となることは間違いないでしょう。電子契約を利用して押印業務を電子化することは、企業の業務効率化やコスト削減にもつながります。正しく選べば事務作業を劇的に楽にしてくれる味方です。まずは導入ハードルの低い「立会人型」から検討して、ペーパーレスでスマートな働き方を実現しましょう!
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よくある質問
当事者型(従来型)の電子契約とはどんなものですか?
認証局に事前申請して電子証明書を取得し、契約当事者の双方が自ら電子署名を行う方式です。
従来型(当事者型)の電子契約にはどんなデメリットがありますか?
証明書発行まで数週間かかる、申請時に収入印紙・登記印紙が必要、発行手数料がかかる(12ヶ月で1万円程など)と、手間・時間・コストの面で負担が大きい点です。
立会人型の電子契約とはどんなものでしょうか?
電子契約サービス会社(第三者)が立会人となり、クラウド上で署名を付与する形式です 。双方がクラウド上で文書を確認・承認すると、サービス会社が電子署名を施します 。メールアドレスや2段階認証で素早く本人確認ができるのが特徴です 。
電子証明書を発行する認証局は具体的にどんな認証局がありますか?
代表的な認証局としては以下があります。
・商業登記認証局(法務省運営)― 法人向け。全国の指定登記所で申請可能。
・セコムトラストシステムズ(セコムパスポート for G-ID)
・NTTビジネスソリューションズ(e-Probatio PS2)
大企業におすすめの立会人型の電子契約サービスは何かありますか?
大企業向けに特に評価が高いサービスとしては以下が挙げられます。
・クラウドサイン(弁護士ドットコム)
― 250万社以上に導入。官公庁・金融機関も利用するレベルのセキュリティと、契約書管理・外部連携の充実ぶりが特長です。
・電子印鑑GMOサイン
― 立会人型・当事者型の両方に対応。マイナンバー実印にも対応し、約2,000人分の契約書を一度に送信することも可。
個人事業・中小企業におすすめの立会人型の電子契約サービスは何かありますか?
簡単に安く利用できるクラウドコントラクトやeformsignがおすすめです。電子契約に必要な機能があり、法的根拠も十分に担保されています。
ハンコ文化のデメリットはどんなところなのでしょうか?
主に場所とスピードの制約があります。
・押印のために出社が必要になり、テレワークの妨げになる 。
・物理的な書類の保存や整理に手間がかかる 。
・業務の効率化やコスト削減の足かせとなる。
立会人型の電子契約は法的証拠力は大丈夫なのでしょうか?
はい、問題ありません。
2020年に総務省・法務省・経済産業省は「電子署名法第3条に関するQ&A」で、メールアドレスの管理などの一定の条件を満たせば、立会人型(事業者署名型)でも法的な推定効(本人が契約したという強力な証拠力)が認められるとの見解が示されています。
低コストで電子契約できるのは、立会人型と当事者型、どちらでしょうか?
立会人型の方が圧倒的に低コストです。当事者型は認証局への申請費用や印紙代が必要で手間もかかります。立会人型はメールアドレスのみで利用でき、スピーディに電子契約を導入でき、取引先に大きな負担をかけないのが魅力です。