2025年12月25日2025年12月25日

近年、電子契約の普及に伴い、Googleドキュメントにも電子署名機能が追加されました。これにより、契約書や申請書などの書類をドキュメント内で簡単に署名・共有できるようになり、作成から契約までがより時短になることが期待されます。
特別なソフトを導入することなく、既存のGoogleWorkSpace環境のままで署名依頼と収集ができるため、電子署名サービスをわざわざ利用する必要がないように思えます。
本記事では、Googleドキュメントの電子署名機能の使い方や法的効力、利用時の注意点、そして代替となる電子契約サービスまで詳しく解説します。
Googleドキュメントとは?
Googleドキュメントは、文書の作成・編集・共有・共同作業の全てがオンライン上で完結できるGoogleが提供するクラウド型の文書作成ツールです。
ビジネスシーンでは、文書の作成といえばMicrosoftの「Word」が主流となっていますが、Googleドキュメントは、Googleアカウントさえあれば、簡単に利用することができることもあり、クラウド時代の文書作成・編集ツールとして人気と利用を拡大しています。
Googleドキュメントは無料で使える?
Googleドキュメントは、Googleアカウントがあれば無料で利用できます。
特別なソフトのダウンロードなどは不要で、WEB上で使用することができます。
Googleのアカウントは、基本無料で取得することができ、無料アカウントでもGoogleドキュメントやGoogleドライブ、Gmail、Googleフォトなど、各種Googleのサービスが利用できます。
Googleアカウントには、有料プランとして、個人向けのGoogle Oneや、法人向けのGoogle Workspaceが用意されており、無料版よりも使用できるツールの機能や、保存容量が充実しています。
Googleドキュメントの電子署名機能
Googleドキュメントの電子署名機能は、Google Workspaceユーザー向けに提供された、新しい機能です。
1 機能概要
Googleドキュメントの電子署名機能では、文書をPDFに変換することなく、オンラインドキュメントで直接、作成・依頼・収集する機能が提供されています。大まかな機能として、署名リクエストの作成、署名フィールドの記入、PDFでの確認がスムーズにできます。また、電子契約に備えてあることが多い通知機能やログ管理機能もあります。
2 価格
Googleドキュメントの電子署名機能の利用は、Google Workspaceの有料プランに加入することで無料で使うことができます。そのため、Google Workspace Business のStandardプランの料金である1,600円で利用することができます。
3 電子署名の手順・使い方
簡単に手順を説明します。
【送信者】
▶Googleドキュメントで書類を開く

▶メニューから「電子署名」をクリック

▶右サイドパネルから署名設定を行う

▶画面の案内に沿って電子署名リクエストをクリック

▶送付内容を入力し、リクエストを送信する

【受信者】
▶受信した署名リクエストのメールから「署名」をクリック

▶会社名や署名を入力(署名日は自動入力となります)

▶画面の案内に沿って署名を入力し「採用して署名」をクリック

▶画面に入力内容が反映されていることを確認し「完了としてマーク」をクリック

▶表示される利用規約を確認し「同意して続行」をクリック

▶“電子署名リクエストが完了しました”の表記がでたら「ウィンドウを閉じる」をクリック

▶「電子署名完了」通知メールから添付ファイルを確認する

▶ファイルに入力した内容や「アクティビティ履歴」が追加されているか確認する

※アクティビティ履歴
【署名の確認】
▶PDFをダウンロードし「AdobeAcrobat」で署名パネルを開く

▶署名パネル内「バージョン1」⇒「署名の詳細」⇒「証明書の詳細…」をクリック

※上記のような表記があれば、電子署名の付与が正常に完了しています
Googleドキュメント電子署名に法的効力はある?
結論として、Googleドキュメントの電子署名には法的効力がありますが、その「強度」は、専用の電子契約サービスと比較すると弱い可能性があります。特に、裁判などでトラブルになった際、専用の電子契約サービスが持つタイムスタンプや詳細な監査証跡がないため、本人の意思による署名であることを証明するのが難しいリスクがあります。
また、本人確認の強度もGoogleアカウントとメール認証が基本なため、やや弱い可能性があります。
Googleドキュメント電子署名のメリット・デメリット
大きなメリットとして、圧倒的な手軽さとコストがほとんどかからない点が挙げられます。署名のために別のアプリケーションやサービスにファイルをアップロードする必要がなく、ドキュメント内で作成から署名リクエストまで完結できます。また、Google Workspaceの既存の有料プランに含まれる機能であるため、専用の電子契約サービスを別途契約する分のコストが発生しません。
デメリットは、法的効力の低さと機能の制限です。タイムスタンプや厳格な本人確認(特定認証)といった、高い法的強度を担保する機能が専用サービスと比較して不足しています。また、複数段階の承認や複雑な契約フロー(署名順序の指定、リマインダー設定の柔軟性など)には、不向きとなる可能性が高くなります。
Googleドキュメント電子署名のおすすめ利用方法
Googleドキュメントの電子署名機能は非常に便利です。ただし、「法的強度」を理解して、書類の重要度に応じて、専用サービスと使い分けることが最も重要です。
使用する書類や場面での使い分け
Googleドキュメントの電子署名は、コストや手間をかけずに迅速に合意を得たい、重要度が低〜中程度の書類での利用がおすすめです。社内文書・合意書・簡易な取引に向いています。既存のWorkspace環境で完結し、手間とコストがかからないものです
【具体例】
①社内稟議書、業務連絡、SLA(サービスレベル合意)未満の取り決め
②納品書・発注書。
③軽微な内容の際の、NDA(秘密保持契約) など
重要度の高い書類では電子契約サービスが適切
重要文書では、電子署名法に基づく推定効をより強固にするタイムスタンプや監査証跡が必要なため、専用の電子契約サービスの利用を推奨します。
【具体例】
①雇用契約書
②金銭消費貸借契約
③長期の業務委託契約
④その他裁判を想定しうる契約書 など
2,000円程度で使える電子契約サービス3選
Google Workspaceの電子署名機能は、1,600円で利用出来ますが、「2,000円程度」という価格帯の専用サービスでも法的効力を補うことができます。
特に、個人事業主や契約件数が少ない中小企業が、Googleドキュメントの機能では不安な法的証拠力(タイムスタンプなど)を確保しつつ、低コストで電子契約を導入したい場合に最適な価格帯です。
ここでは、おすすめのサービスを3つ紹介します。
ベクターサイン
ベクターサインであれば、月2,000円程度で電子契約が出来ます。ベクターサインには、プラン5、プラン30、プラン100の3つのプランが用意されています。
「プラン5」だと、5通送信で1,320円で利用可能です。
契約書を10通送信する場合でも、プラン5と5通チャージ(同じく1,320円)を利用することで、2,640円程で利用することが出来ます。また、このような最低プランであっても機能制限がない点も魅力です。
クラウドコントラクト
クラウドコントラクトも、月2,000円で利用できる電子契約サービスです。中小企業や個人事業主向けに作られています。電子署名とタイムスタンプの付与、書類の保管機能まで含まれているため、法的要件を満たしています。10件締結の場合、プラン内料金である2,178円です。税抜価格は2,000円以内であるため、非常にお得です。
eformsign
eformsignも、2,000円以内で電子契約が可能です。
FORCS Japanが運営しているクラウドベースの電子契約サービスです。料金が1件から発生するチャージ型プランが特色で、契約数が少ない場合、他社サービスに比べてお得に利用できます。1件あたり電子署名+タイムスタンプで132円(11件以上は110円)です。そのため、月10件締結の場合は、2,420円で利用することが出来ます。
まとめ
Googleドキュメントの電子署名機能は、Google Workspaceの有料プラン(月額1,600円)に加入していさえすれば、追加費用なしで利用できるため、手軽さがとても魅力です。
しかし、その法的効力は、専用の電子契約サービスと比較して弱い点に注意が必要です。タイムスタンプや詳細な監査証跡がないことは、裁判などのトラブルの際に、証拠として機能しない可能性があります。
そのため、利用方法として、契約の重要度合いに合わせて使い分けることがおすすめです。今回紹介したサービスで、重要文書の証拠力を担保することができます。
よくある質問
電子署名とは?
端的に言うと、紙媒体の書面で行っている署名・捺印を、電子上で行うこと、またその電子上の署名のことをいいます。日本の電子署名法により、一定の要件(本人が作成したこと、改ざんされていないこと)を満たせば、紙の署名や押印と同等の法的効力が認められています。
Googleドキュメント電子署名に法的効力はあるの?
Googleドキュメントの電子署名には、一定の法的効力がありますが、専用の電子契約サービスほどの強い証拠力はありません。タイムスタンプがないこと、また本人確認が簡素なものであることから、本人性と非改ざん性を担保し切れていないといえます。
Googleドキュメント電子署名のメリットとデメリットは?
簡潔に言えば、メリットは、手軽に利用できコストが低いこと。デメリットは、文書の法的効力が弱くなる点です。
Googleドキュメントの電子署名はどんな書類に向いていますか?
社内稟議書、承認書、簡易的な合意書など、法的強度をそれほど求めない書類に向いています。重要な契約書類は、専用の電子契約サービスを使うのが安心です。
Googleドキュメントの電子署名は無料で使えますか?
完全無料では利用できませんが、現状Google Workspace Business のStandardプラン(月1,600円〜)以上に加入している場合、追加費用はかかりません。
相手方がGoogle Workspaceユーザーではない場合でも、電子署名は可能ですか?
はい、可能です。電子署名のリクエストはメールで送信され、受け取った側はGoogleアカウントを持っていなくても、指示に従って署名することができます。
Googleドキュメントの電子署名機能で作成された署名は、日本の電子署名法上、どのような仕組み(タイプ)に分類されますか?
Googleドキュメントの電子署名は、クラウドサービス提供事業主(Google)が発行する証明書と、署名時のGoogleアカウント認証を組み合わせるものです。これは、多くの電子契約サービスと同じように、事業者署名型(立会人型)に分類されます。一般的には当事者型が最も厳格です。そのため、法的効力の強度は、Googleドキュメント電子署名<立会人型電子契約サービス<当事者型電子署名 というイメージです。
Googleドキュメントで電子署名した文書は、どこに保管・管理されますか?
署名を作成・管理したユーザーのGoogleドライブ内に自動で保管されます 。
署名が完了した文書はPDF形式で最終確認が行われます。
Googleドキュメントの電子署名はスマートフォンからも使えますか?
はい、使えます。ただし、PC版に比べて署名入力が制限される場合があるため、パソコンで行うのがおすすめです。
Googleスプレッドシートやスライドでも電子署名は使えますか?
今のところ、対応していません。ただし、PDFに変換してGoogleドライブ経由で行う方法や一部の専用電子契約サービスのアドオンをインストール利用することで、電子署名できることが考えられます。
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