Web制作会社で電子契約は活用できる?コストの比較から電子契約導入まで徹底解説!

2024年11月28日2024年12月04日

Web制作会社で電子契約は活用できる?コストの比較から電子契約導入まで徹底解説!

Web制作会社は全国で1万〜2万社、フリーランスを含めるとさらに数千〜1万人以上が活躍すると言われる成長市場です。常に変化するWeb業界において、顧客や外注先との契約業務の効率化はビジネス成功に不可欠です。従来の紙の契約書では多くの手間と時間がかかり、煩雑になっていまいます。

そこで注目されているのが「電子契約 」です。この記事では、Web制作における電子契約のメリット・デメリットから導入コストまで、活用ポイントをわかりやすく解説します。 Web制作ビジネスを成功させるためのヒントが満載ですのでぜひご参考下さい!

Web制作会社で電子契約は活用できる?

Web制作会社においても電子契約は多くの場面で活用できます。Web制作会社でよく利用する契約書の大半は電子化が可能です。ホームページ制作や関連業務の依頼に関する契約書、外注先への再委託契約書などは、申込書や業務委託契約書、秘密保持契約書が中心となるため、電子契約サービスで対応できます。

適切な電子契約サービスを導入することで、印紙税の削減、郵送費や保管スペースの削減、契約締結までの時間短縮など、コスト削減と業務効率の改善の効果が期待できます。ただし、一部例外もあります。例えば「事業用定期借地契約」や「任意後見契約書」などの書類は、紙での締結が義務付けられているので注意が必要です。

Web制作会社に必要な契約と書類

ホームページ制作にあたっては、クライアントとさまざまな契約を結びます。特に重要となるのは、申込書・発注書と業務委託契約書(請負契約・準委任契約・再委託など)です。申込書・発注書は、商品・サービスを依頼するクライアント側が「どういったホームページを希望しているのか」といった内容を示す書類で、「発注する意思」を示します。

業務委託契約書は、制作内容や費用、納期などを具体的に定めた契約書で、請負契約や準委任契約などがあります。契約書には、著作権の帰属や秘密保持に関する項目も含まれます。また、必要に応じて、「秘密保持契約書」や「再委託契約書」を締結する場合もあります。契約内容はクライアントやプロジェクトによって異なるため、事前にしっかりと確認することが大切です。

ホームページ制作の申込書・発注書

ホームページ制作をお願いする「発注側」が作成するのが申込書・発注書です。クライアントと制作会社の間で制作内容や条件を明確にし、後々のトラブルを防ぐために用いられる書類です。口頭でのやり取りだけで制作を進めるうちに、認識の違いが生じる可能性が出てくることは少なくありません。納品後に「聞いていた話と違う」などの問題を防ぐためにも、発注書や申込書の作成をおすすめします。

申込書・発注書には、通常、以下の項目が記載されます。
これらの項目を明確にすることで、それぞれの認識を一致させ、スムーズな制作が可能となります。

  • ■発注者情報(会社名、担当者名、連絡先、住所 等)
  • ■受注者情報(会社名、担当者名、連絡先、住所 等)
  • ■発注日
  • ■納期(納品日・ホームページ公開予定日 等)
  • ■発注・制作内容(ページ数、制作プラン、機能、保守管理 等)
  • ■費用(制作費、ドメイン費、サーバー利用料費 等)
  • ■支払い方法(銀行振込、クレジットカード決済、支払い回数、支払い期限 等)
  • ■その他特記事項

ホームページ制作の業務委託契約書

ホームページ制作では、ウェブサイトのデザイン、コーディング、コンテンツ作成などを外部の制作会社やフリーランスに委託する際に業務委託契約書を締結します。業務委託契約は、民法で定められた「請負契約」や「委任契約」を広く指す言葉です。ホームページ制作の場合、ウェブサイトの完成を目指す「請負契約」がこれにあたります。

委任契約(準委任契約)は業務の遂行を重視し、納品物の完成ではなく、サービスを継続的に提供することを目的する場合に用いられることがほとんどです。ケースバイケースですが、SEO対策やサイト運営・更新業務など、継続的な作業を依頼する場合は「準委任契約」となる場合もあります。業務委託契約書には、以下の項目を記載する必要があります。

  • ■契約当事者(契約社双方の社名・住所・連絡先・担当者名 等)
  • ■委託業務の内容(請け負う制作業務の内容)
  • ■委託期間(ホームぺージ制作期間・納期)
  • ■再委託(再委託の可否/再委託の条件)
  • ■権利の帰属(制作業務で発生する権利・著作権 等)
  • ■秘密保持(どこまでの情報が秘密情報なのか、漏洩行為の規定 等)
  • ■報告義務(制作の進捗報告の頻度やトラブル発生時の報告の規定 等)
  • ■禁止事項(制作にあたって禁止する事項等)
  • ■損害賠償(制作中に損害が発生した場合の賠償責任の範囲や賠償の上限額等)
  • ■契約解除(制作中に解約となる場合の条件 等)
  • ■報酬額(具体的な金額またはプランの金額 等)
  • ■支払い方法(銀行振込、クレジットカード決済、支払い回数、支払い期限 等)

なお、ホームページ制作を受注した後、その業務を外部に再委託する場合には注意が必要です。契約書に「再委託に関する条件」を明記し、発注者の許可を得なければなりません。
受任者(委託された人)の個人のスキルや能力が重視される委任契約の場合は、原則として、再委託(復委任)は禁止されています。

納品後の保守業務委託契約書(制作とは別途保守管理契約を行う場合)

ホームページ制作後、保守・管理業務を別途委託する場合に必要となるのが「保守業務委託契約書」です。これは、制作契約とは別に締結される業務委託契約の一種で、多くの場合、制作と保守管理を分けて契約することが一般的です。保守管理は完成後の運用・管理を行う工程であり、制作は異なるスキルや知識が求められるからです。契約を分けることにより、責任範囲を明確化する意味もあります。

保守業務委託契約書には、以下のような項目を記載します。

  • ■契約当事者(契約社双方の社名・住所・連絡先・担当者名 等)
  • ■保守管理業務の内容(保守業務の範囲や内容 等)
  • ■保守期間(保守管理開始日と終了日、具体的な期間 等)
  • ■保守対象(対象となるホームぺージのURLやサーバー 等)
  • ■報告義務(保守作業時の報告方法、報告の規定 等)
  • ■追加業務(保守対象・範囲外の追加業務が発生した場合の対応方法 等)
  • ■保守費用(保守管理の金額 等)
  • ■支払い方法(銀行振込、クレジットカード決済、支払い回数、支払い期限 等)
  • ■責任(万が一の場合の秘密保持や損害賠償の規定 等)
  • ■契約解除(契約解除方法や途中解約の場合の違約金の規定 等)

Web制作会社の契約書を電子契約用に変更する方法

Web制作会社で取り交わされるホームページ制作や保守管理の業務委託契約書は、電子契約に対応させることが可能です。現在使用している契約書をベースとし、いくつかのポイントを修正すればスムーズに電子化できます。内容を変更する場合には、次の3点に留意しましょう。

①「書面」を「電磁的記録」に変更・追記
紙を前提とした「書面」という表現は「電磁的記録」に置き換えます。
例「書面による承諾」は「電磁的記録による承諾」に変更

②「本書2通」を削除
電子契約では、紙の契約書のように複数通作成する必要はありません。「本書2通作成し~」といった文言は削除しましょう。

③原本は「電子データ」であると明記
原本が電子データであることを明確にします。万が一契約書が印刷されて保管されている場合でも、電子データを正式な原本とし、印刷されたものは「複製」として扱うことを記載しておきます。
例「原本は電子データである本電子契約書ファイルとし~」

また印鑑は不要となるため、署名欄の「印」マークは削除できます。印鑑が不要になる詳しい理由については「電子契約に印鑑は不要!理由や法的根拠を解説」を参考にしてください。

Web制作会社のための電子契約サービス選定ガイド

Web制作会社が電子契約サービスを導入する際は、まず自社のニーズを明確に把握することから始めましょう。まず1カ月あたりどのくらいの契約を交わしているのか、また現在の紙契約にかかる「郵送費」や「印紙税」などのコストを算出します。

例えばWeb制作でよく使われる業務委託契約書の場合、印紙代や郵送費などを考えると、1通あたり最低でも380円はかかります。月に10件契約を結ぶとすると、紙の契約書だけで3,800円ものコストが発生していることになります。

紙契約のコストを抑えるか、機能面での充実を優先するか、電子契約サービスの選択肢は多岐にわたります。ここからは、契約件数やコスト別におすすめの電子契約サービスをご紹介します。

【月0円から使える!】無料の電子契約サービス

電子契約サービスの中には、月額無料で利用できるものもあります。月間契約数が少ないWeb制作会社やフリーランスの方々にとって、紙契約にかかるコスト(0〜2,000円)を削減するため、無料プランを活用するのは賢い選択です。リーズナブルな無料電子契約サービスのおすすめを3つご紹介します。

Great Sign(無料)

無料期間 無期限(累計10送信まで)
上限数 送信 累計10件まで
電子署名 〇
タイムスタンプ 〇
送信費用 無料
保管 〇
無料期間終了後のプラン料金 シンプルまるっとワンプラン:11.000円
ユーザー数 1名
その他条件等 ・1ファイルあたりのデータサイズ800MB、1締結あたりファイルの合計データサイズ800MB。
・『お試し用のプランのため、ご利用いただける機能が限られます。』と公式サイトに記載されていたので、機能面の確認が必要。

※2024年10月調査時点時の情報となります。
※料金は税込価格表記です。

電子印鑑GMOサイン(無料)

無料期間 無期限(月5送信まで)
上限数 送信 月5件まで
電子署名 〇
タイムスタンプ 〇
送信費用 無料
保管 〇
無料期間終了後のプラン料金 契約印&実印プラン:月9,680円~
(管理画面からのプラン変更で利用可能。)
ユーザー数 1名
その他条件等 ・⽂書テンプレート登録・アドレス帳(それぞれ登録上限5件)
・立会人型

※2024年10月調査時点時の情報となります。
※料金は税込価格表記です。

クラウドサイン(無料)

無料期間 無期限(月3送信まで)
上限数 送信 月3件まで
電子署名 〇
タイムスタンプ 〇
送信費用 無料
保管 〇
無料期間終了後のプラン料金 Light:月11,000円
Corporate:月30,800円
(書類送信のタイミングで課金)
ユーザー数 1名
その他条件等

※2024年10月調査時点時の情報となります。
※料金は税込価格表記です。

【月3,000円以内で使える!】低コストな電子契約サービス

月の契約件数が約10件程で、紙の契約コストが3,000円ほどかかるWeb制作会社には、低コストで利用できる電子契約サービスが最適です。ここからは月々の費用を3,000円以内に抑えながら、効率的に契約業務を進められるサービスをご紹介します。コストを削減しつつ、便利に契約管理を行いたい方におすすめです。

【月2,178円~】クラウドコントラクト(スタータープラン)

クラウドコントラクト
プラン名 1月あたりの利用費(税込) 利用費以外の追加料金
スタータープラン 2178円
※1年契約の場合
送信料:0円
電子署名:0円
タイムスタンプ:0円
保管料金:0円
その他:10件を超えない場合追加料金なし
月10件締結した場合の料金 2,178円
※計算内容:スタータープラン利用費2,178円 のみ

※2024年9月調査時点の情報となります

クラウドコントラクトは、個人事業主と中小企業に特化した、使いやすさを重視した設計とリーズナブルな料金が特徴の電子契約サービスです。 現在の電子契約サービスに多い、プラン料金以外の料金(送信費や電子署名追加料金、保管料金等)もないため、各プランの締結可能件数を超えない限り、プラン料金のみで利用することができます。 万が一各プランの締結可能数を超過した場合も、1件33円~110円の安価な料金設定となっているため、契約件数に波がある場合でも、リーズナブルに利用することができます。

【月2,020円~】契約大臣(スタータープラン)

契約大臣
プラン名 1月あたりの利用費(税込) 利用費以外の追加料金
スタータープラン 2,020円
※1年契約の場合
送信料:0円
電子署名:220円
タイムスタン:0円
保管料金:0円(締済みのみ)
その他:オプション外サービス連携(API)
月10件締結した場合の料金 4,220円
※計算内容:スタータープラン利用費2.020円+電子署名220円×10件=4.220円

※2024年9月調査時点の情報となります

契約大臣は、基本料金が安く、シンプルで分かりやすい操作できるサービスです。
低価格ながら、電子署名・タイムスタンプなど法的安全性を担保する機能などが揃っているので安心して利用することができます。
※電子サインは無料となっていますが、電子署名は1件当たり220円となっているので、スタータープランの上限である10件の締結を行い、電子署名を付与する場合は、実質4,220円が利用費となります。

【月1,078円~】freeeサイン (個人事業主専用 スタータープラン)

freeeサイン
プラン名 1月あたりの利用費(税込) 利用費以外の追加料金
個人事業主向け
スタータープラン
1.078円
※1年契約の場合
送信料:0円
電子署名:220円
タイムスタンプ:0円
保管料金:文書保管ができない
その他:
月10件締結した場合の料金 3,278円
※計算内容:スタータープラン利用費1,078円+電子署名220円×10件=3,278円

※2024年9月調査時点の情報となります

freeeサインは、契約締結だけではなく、契約業務を楽にする多彩な機能を備えた統合型法務サービスです。
個人事業主向けのプランは他社と比べても非常に安く、個人事業主であえれば、最低限の機能で安価に電子契約を導入することができます。
個人事業主以外の法人向けのプランは月5,980円~となっており、充実した機能が揃っています。
freeeサインの法人向けプランでは、プラン料金以外に、送信料、電子サイン料、電子署名料などの1通あたりの追加料金が設定されているため、利用するプランが、プラン料金のみで使えるのか、他に料金がかかるのかをしっかり確認する必要があります。

【月4,000円~使える!】契約可能数50件以上で安い電子契約サービス

月額4,000円から利用でき、月に50件以上の契約を交わす企業にぴったりな電子契約サービスを紹介します。コストを抑えつつ、大量の契約書を効率的に管理できるため、Web制作会社や契約件数の多い企業に適しています。サービスの充実度とコストのバランスが取れた選択肢と言えるでしょう。

【締結可能数50件/月4,378円~】クラウドコントラクト(ライトプラン)

対象プラン 1月あたりの料金(税込) 特徴
スタータープラン 2,178円 ※1年契約の場合 ・1送信毎の費用なし
※締結数のみの換算
・電子署名追加料金なし
・タイムスタンプ追加費用なし
ライトプラン 4,378円※1年契約の場合
スタンダードプラン 8,228円※1年契約の場合

※2024年9月調査時点の情報となります

クラウドコントラクトのライトプランは締結可能数50件いないであれば、プラン料金のみ(月4,378円)で利用することが可能です。 電子署名の追加料金や1送信毎の追加料金もないため、プラン外の料金を気にせず、安心して使うことができるのではないでしょうか。

【送信可能数50件/月4,400円~】 CoffeeSign(Tallプラン)

対象プラン 1月あたりの料金(税込) 特徴
Freeプラン 0円
※月5送信まで
・送信料 110円/件
Tallプラン 4.400円
※1年契約の場合
Grandeプラン 8.800円
※1年契約の場合

※2024年9月調査時点の情報となります

CoffeeSignには、月50件迄の送信が可能なTallプランが用意されており、月4,400円から利用することができます。CoffeeSignは送信料が1件につき110円となっているので、送信数が50件となる場合には、プラン料金+送信料金で合計9,900円が利用費の合計となります。
0円から使えるプランが用意されているので、まずは少数の契約で初め、契約が増えた際に、他プランに切り替えるといった使い方もできるのではないでしょうか。

【送信可能数50件/月6,050円~】契約大臣(ベーシックプラン)

対象プラン 1月あたりの料金(税込) 特徴
ベーシックプラン 6,050円
※1年契約の場合
・送信料:0円
・電子署名:220円
・タイムスタンプ:0円
・保管料金:0円(締済みのみ)
・その他:オプション外サービス連携(API)

※2024年9月調査時点の情報となります

契約大臣には、月50件迄締結が可能で月6,050円から利用できるベーシックプランが用意されています。他プラン同様に、電子サインは無料となっていますが、電子署名は1件当たり220円となっているので、ベーシックプランの上限である50件の締結を行い、すべてに電子署名を付与した場合は、実質17,050円が利用費となります。

Web制作会社が導入すべき電子契約サービス

Web制作の業務委託契約は、印紙代が安く、電子契約のメリットを感じにくいケースもあるでしょう。しかし電子契約には、コスト削減以外にも契約締結のスピードアップやペーパーレス化など、数多くのメリットがあります。まずは、無料または低価格なサービスから試してみて、電子契約の利便性を体感してみてはいかがでしょうか?

以下の記事では、1件ごとの料金比較や無料サービス、コストパフォーマンスに優れた電子契約サービスを紹介しています。自社に最適なサービスを見つけるための参考にしてみてください。

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