【今さら聞けない】電子契約は本当に印紙税が必要ないの?法的根拠を紹介

2017年11月02日2025年08月12日

「印紙税が不要」という大きなメリットのある電子契約。しかし、印紙税法の中には、それを明記した法令がないため、「本当に電子契約に印紙税は必要ないの?」とその信ぴょう性について不安を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、印紙税法第2条には「別表第1の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する」との記載がありますが、ここでいう「文書」というのは書面の文書のみが該当し、電子文書は含まれないと解釈されています。

この記事の伝えたいこと

電子契約は、紙の契約書に必要とされる収入印紙が不要になる画期的なシステムです。これは、印紙税法が「紙の文書」を課税対象としているため、電子データは対象外という法的根拠に基づいています。国税庁の見解や国会答弁でもこの方針が明確に示されており、企業は安心して印紙代を削減できます。さらに、電子契約は業務効率化、契約スピードアップ、管理強化、コンプライアンス向上といった多角的なメリットをもたらし、現代ビジネスにおけるDX推進の重要な鍵となります。

1. 電子契約と印紙の基礎知識

電子契約を考える際、「収入印紙は本当に不要なのか?」は大きな疑問です。ここでは、電子契約と印紙の基本を分かりやすく説明し、なぜ電子契約が印紙の貼付対象外になるのかを、国の公式見解を基に解説します。これにより、安心して電子契約を導入できるよう、法的根拠を理解できます。

1.1. 電子契約とは?その定義と現代ビジネスにおける重要性

電子契約は、インターネットを使い電子データで結ぶ契約です。単なる紙のデジタル化ではなく、電子署名やタイムスタンプで、紙の契約と同じ法的効力を持つのが特徴です。

電子契約は、現代ビジネスで非常に重要です。物理的な制約なく契約でき、コスト削減、業務効率化、ガバナンス強化など多くのメリットがあります 。リモートワーク対応や契約スピードアップも可能で、企業のDX推進に貢献します。技術的な信頼性が、ビジネス上の具体的な利益につながるため、導入企業が増えています。

1.2. 印紙とは?

「収入印紙」とは、国に税金や手数料を納めたことを証明する証票です。契約書や領収書など、印紙税法で定められた「課税文書」と呼ばれる特定の紙の文書に貼ることで、印紙税を納付します。印紙税法は、電子データがない時代に作られた法律であり、印紙を貼る対象は「紙の文書」が前提です。そのため、電子契約に印紙が必要かどうかは、この法律の「解釈」に大きく左右されます。

2. なぜ印紙は不要?電子契約の法的根拠を徹底解説

電子契約に収入印紙が不要なのは、印紙税法が定める「課税文書」の定義と、電子データの扱いに関する解釈に基づきます。この非課税の根拠は、印紙税法の解釈、国税庁の公式見解、国会答弁という複数の層で補強されています。これにより、企業は電子契約を安心して導入し、印紙を貼る手間とコストを省ける確実な基盤が整っています。

2.1. 印紙税法の解釈

印紙税法では、印紙税は「紙の文書」に課される税金とされます。印紙税法基本通達第44条第1項は、課税文書の「作成」を「用紙等に記載し、その目的に従って使うこと」と定義。電子データは「用紙等」に該当せず、電子ファイルの送受信は「文書の作成」にあたりません。そのため、電子契約には収入印紙が不要とされています。印紙税法別表第1にも電子文書の記載がないため、課税対象外です。

印紙税法基本通達第44条第1項

第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。

【出典】第7節 作成者等|国税庁

2.2. 国税庁の公式見解

国税庁は、以下の3つの条件すべてに該当する文書を課税文書とする旨を発表しています。

  • (1)印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
  • (2)当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
  • (3)印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

【出典】No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁

国税庁の見解もこの解釈を裏付けます。国税庁は、電子データによる契約は印紙税の課税対象外であり、収入印紙も不要であると明確に示しています。例えば、コミットメントライン契約に関する回答では、電子メール等による提出では「課税物件は存在しない」と明記されており、電子契約に印紙が不要である根拠となっています。

2.3. 国会答弁での確認

国会答弁での確認も重要な法的根拠です。2005年の国会答弁で、当時の首相が「電磁的記録により作成されたものについて課税されない」と明確に答弁しました。これは、電子契約には収入印紙が不要であるという方針を公式に確認したものです。この方針は、その後の税制改正の議論でも継続的に確認されており、電子契約の普及を後押ししています。

これらの多層的な根拠は、デジタル化の進展に対し、国が柔軟に対応し、法的安定性と経済発展を両立させようとしていることを示します。企業は「グレーゾーン」を心配することなく、収入印紙の貼付が不要という明確なメリットを享受できる基盤が整っています 。

3. 電子契約における印紙の取り扱いと注意点

電子契約の導入を検討する際、収入印紙の扱いや、全ての契約が電子化できるわけではない点について理解しておくことが重要です。ここでは、電子契約における印紙の原則的な取り扱いと、導入時に注意すべき点を解説します。

3.1. 電子契約は収入印紙が不要

電子契約では、紙の契約書に貼る収入印紙が不要です。これは、印紙税法が「課税文書」を「紙の文書」と定義しているためです。電子データは「用紙等」に該当せず、電子ファイルの送受信は「文書の作成」にあたらないと解釈されます。国税庁も「課税物件は存在しない」と明確な見解を示し、2005年の国会答弁でも「電磁的記録は課税されない」と確認されています。これにより、電子契約は印紙税の対象外となります。

3.2. 電子契約書を印刷した場合の印紙の取り扱い

電子契約書を印刷しても、原則として収入印紙は不要です。電子契約では電子データが原本と見なされ、印刷されたものはその「写し(コピー)」として扱われるためです。収入印紙は基本的に課税文書の原本に貼るものであり、写しには原則として不要という原則に基づいています。

ただし、例外的に収入印紙が必要になるケースもあります。これは、印刷された書面が「新たな課税文書」として機能する意図で作成・利用された場合です。具体的には、印刷物に契約当事者の双方または一方の署名や押印がある場合、または原本と同じと証明された場合です。電子契約後に印刷物を「契約書の本書」として締結した場合も、収入印紙が必要な課税対象となります。参照用やバックアップ目的で印刷する際は、原本との混同を避ける注意が必要です。

3.3. 全ての契約を電子化できるわけではない

電子契約の普及が進み、多くの契約書で電子化が認められる法改正が行われています。しかし、全ての契約を電子化できるわけではありません。法令によって書面作成が義務付けられている特定の契約書については、依然として電子契約で締結することはできません

具体例としては、事業用定期借地契約、企業担保権の設定・変更に関する契約、任意後見契約などが挙げられます。訪問販売など特定商取引における書面交付義務も以前は電子化が認められていませんでしたが、消費者の事前承諾があれば電子化を容認する改正がなされています。企業は、自社が扱う契約類型の中に、まだ電子化できないものが含まれていないか、事前に確認することが重要です。

4. 紙の契約書で必要となる印紙税額

紙の契約書を締結する際に必要となる主な印紙代金は以下の通りです。電子契約にすることで、大幅な経費削減が実現できます。

第2号文書 請負に関する契約書:工事請負書、工事注文請負書、広告契約書、会計監査契約書など

契約金額 印紙税額
契約金額の記載なし 200円
1万円未満 非課税
1万円以上 100万円以下 200円
100万円超える、200万円以下 400円
200万円超え、300万円以下 1,000円
300万円超え、 500万円以下 2,000円
500万円超え、 1,000万円以下 10,000円
1,000万円超え、 5,000万円以下 20,000円
5,000万円超え、 1億円以下 60,000円
1億円超え、5億円以下 100,000円
5億円超え、 10億円以下 200,000円
10億円超え、 50億円以下 400,000円
50億円を超える金額 600,000円

5.電子契約がもたらす印紙税の節約

電子契約を導入する最大のメリットの一つは、収入印紙代が不要になることです。紙の契約書では、契約の種類や金額に応じて数万円から数百万円もの印紙税がかかりますが、電子契約ではこの費用が丸ごと削減されます。また、収入印紙の貼り忘れによる過怠税(納付すべき額の3倍)というペナルティリスクも回避できるため、企業のコンプライアンス強化にもつながります。これにより、年間で数十万円から数百万円のコスト削減効果が期待でき、企業の利益に直接貢献します。

6.印紙に関するよくある質問

Q1.印紙税と収入印紙は何が違うのですか?

A.印紙税は、国が特定の「課税文書」(契約書や領収書など)に対して課す税金そのものです。一方、
収入印紙は、その印紙税を納めるために、課税文書に貼る「証票」のことです。つまり、印紙税は税金の種類であり、収入印紙はその税金を納付するための手段(切手のようなもの)と理解できます。電子契約では、課税文書が電子データであるため、印紙税の課税対象外となり、結果として収入印紙も不要になります。

Q2.紙の契約書を電子化した場合、貼付済みの収入印紙は還付されますか?

A.いいえ、原則として還付されません。印紙税の還付申請には、原本の紙文書が必要となるためです。例えば、過去に印紙を貼って締結した紙の契約書を後から電子データとして保存し直した場合、その印紙代は戻ってきません。そのため、電子契約への移行を検討する際は、過去の紙契約の取り扱いについても注意が必要です。

Q3.電子契約書を印刷した場合、収入印紙は必要ですか?

A.原則として、電子契約書を印刷しても収入印紙は不要です。電子契約では電子データが原本と見なされ、印刷されたものはその「写し」として扱われるためです。収入印紙は基本的に課税文書の原本に貼るもので、写しには原則不要です。ただし、印刷物に当事者の署名や押印がある場合、またはそれを「契約書の本書」として締結した場合は、新たな課税文書とみなされ、収入印紙が必要になる例外があります 。

7.まとめ

電子契約は、単なるコスト削減(収入印紙不要)を超え、ビジネスの戦略的基盤です。業務効率化、契約スピードアップ、管理強化、コンプライアンス向上など多角的なメリットを提供します。電子署名やタイムスタンプ、関連法規により法的有効性も保証されており、安心して導入可能です。デジタル化が進む現代において、電子契約は企業の競争力を高め、持続的成長を支える重要な一歩となるでしょう。

この記事の監修者

菊地 智史 Satoshi Kikuchi

1984年群馬県生まれ。杉並総合法律事務所所属の弁護士。
多様な業種の法的トラブル解決に従事し、中小企業の契約書レビューや労務問題に精通。近年は顧問業務に注力し、電子契約化に関する法的アドバイスも提供。幅広い経験を活かし、企業の法務・労務課題に総合的に対応。

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