2023年12月11日2024年01月12日
【電子契約の乗り換え方法】知らないと危険な基礎知識やコツを解説
コロナ禍によるテレワークの増加、電子帳簿保存法改正などさまざまな背景から電子契約を導入する企業が増えています。 国内の電子契約サービスの数も30社を超え、高機能で高価なシステムや機能がシンプルで安価なシステムなど、サービス内容も多様化しており、導入企業が自社のニーズに合ったサービスを選べるようになりました。
以前と比べて選択肢が格段に増えているため、現在利用する電子契約サービスの操作性やコストに不満がある場合はサービスの乗り換えを検討するのも一案です。
この記事では、電子契約サービスの乗り換えの進め方や、乗り換えを検討する際に知っておきたいポイントを、事前準備から乗り換えの完了まで網羅的に解説していきます。
電子契約の乗り換えに関する基礎知識とよくある疑問
電子契約サービスの普及にともない、サービスや操作性、コスト面で魅力的な新サービスが増えています。ただ、自社のニーズに適した電子契約サービスに乗り換えるにあたって対応に注意すべき項目もあります。現在のサービスからのデータ移行やそれぞれの利用期間重複などにはどう対応すべきなのでしょうか。電子契約サービス乗り換えに関する基礎知識とよくある疑問についてまとめました。
締結した契約書は無効になる?電子契約解約時のデータの扱い
電子契約サービスを解約し新たなサービスに移行する際、これまで締結した契約書データもそのまま移行できるのでしょうか。残念ながら解約したサービスからのデータ移行はできず、保管もされません。
では、データの取引時刻を示すタイムスタンプの扱いはどうなってしまうのでしょう。
現状、解約前の電子契約サービスから契約書をダウンロードして保管しておけば、タイムスタンプは今後も「有効」と見なされるため問題ありません。
一般的に電子署名とタイムスタンプは、双方が揃うことで文書としての正当性が証明されます。双方が揃っている文書の有効期限は基本的には10年とされています。これは将来的に現在のシステムの弱点をつき、暗号化を破る技術が発見されないとは言えないためです。
電子契約書の改ざんが行われてしまうと文書は信頼性を失いますので、この「暗号危殆化のリスク」に備える意味で10年という期限が設けられました。
そこで登場したのが長期署名のしくみです。タイムスタンプの有効期限が来た際に新たな暗号技術に基づくタイムスタンプを追加すれば、さらに20、30年と期限を延長することが可能になります。
一方、電子証明書のみの契約書の有効期限は通常は1〜3年とされています。しかし、この期限を経過した後の契約書の法的効力はどうなるのかについて法的に確実な答えは出ていません。今後、有効期限切れの電子契約の契約書に関する係争が起こるなどした場合に明確になるでしょう。
結論としては、現段階ではどの電子契約サービスを利用しても、電子契約書の有効期限に関しては大きな差がないということです。
ただし、先にお伝えしたとおり、電子署名とタイムスタンプの双方が問題なく付与されている点は確認しておく必要があります。この2つに問題があると、電子契約書そのものの有効性の証明が困難になってしまいます
乗り換えの際は課題の解決&電子契約が使えない空白期間を作らないことが重要
電子契約サービスへの乗り換え自体は、自社のさまざまな課題を新たに解決できるなどメリットは大きいです。一方で、新しいサービスへの移行期間にどちらの電子契約サービスも利用できない期間が生じてしまえば、社内のシステムが混乱に陥ります。これでは本末転倒です。
乗り換えの期間中のみ、書面での契約書に戻して対応するのも選択肢の1つです。
しかし紙と電子データが両方存在することで、後々のトラブルに発展するリスクがあります。新たな電子契約サービスの契約の際、契約書の管理に悪影響を及ぼす場合も出てくるでしょう。また、切手や封筒の購入による経理処理増加など手間も増えると予想されます。よって、一旦紙の契約書に戻すのはおすすめしません。
移行時に空白期間を作らないためには、現在使っている電子契約の契約期間中に新規サービスの契約手続きや諸作業を終わらせるのが鉄則です。
2つの電子契約サービスを利用するため一時的に料金を二重に支払う期間が生じますが、2つの電子契約サービスを併用することで空白期間なく乗り換えを終えることが可能です。
このコストを渋ることが社内混乱のリスクにつながりますから、二重支払いのコストは必要経費だと割り切ってしまいましょう。
乗り換えのタイミングは契約更新時だが早めの準備が必要
現在使用する電子契約サービスの更新時が、コストの無駄なく乗り換えられるタイミングとなります。
1年以上の長期契約を締結しているケースでは特に契約更新時が乗り換えのベストタイミングです。ただし、電子契約サービスの乗り換えの大きな目的は業務効率化ですので、新しい電子サービスへの乗り換えが自社に大きなメリットをもたらすのであれば、早めに判断することを推奨します。
コストが多少増えたとしても、更新時を待たずに乗り換えるのも一案です。
電子契約の新旧乗り換えには、サービスの選定や試験導入などを行うテスト期間も見ておかなくてはなりません。加えて、社内外との調整やデータ移行作業など多数のタスクが発生し、時間も要します。
早め早めの対策が、結局はスムーズな運用への近道になるでしょう。
大きな企業ほど、管理システムが煩雑で手続きも膨大になりますので、スピーディーな準備が必要です。
乗り換え先の電子契約サービス選びのコツと実施すべきこと
新たな電子契約サービスの導入手順は基本的には導入時と変わりませんが、一部異なる点もあります。
乗り換え後に問題なく電子契約サービスを利用するためのサービス選びのコツと実施しておくべき内容をお伝えしますので参考にしてください。
自社が実現したい事と現状の課題を徹底的に洗い出す
電子契約の乗り換え作業は、現状のサービスのどこに不満があるのか、課題となっている部分を具体的かつ明確にする作業からスタートします。 そもそも、なぜ電子系やサービスを乗り換えようと考えたのでしょうか。自社の理想はどこにあり、今のサービスには何が足りていなくて、新しく導入する電子契約サービスでどう変えていきたいのか、実現していきたいのかを見つめ直していきましょう。
例えば、コスト削減の一環として新たな電子契約サービスを探している場合は機能に優先順位をつけるのがおすすめです。
今の御社は現在の電子契約サービスの機能をあまねく利用できているでしょうか。自社が最も必要にしている機能とはどんな内容で、どのような機能があれば十分と判断できるでしょうか。
これらの優先順位をリスト化し、優先順位が低い機能が多くついているサービスは避けるようにすればより安価な電子契約サービスを選択できます。
電子帳簿保存法への適法性を確認する〈2022年に改定!〉
従来、紙での保存が義務づけられてきた帳簿や決算書、請求書などの帳簿書類を電子データで保存するルールが定められました。これが電子帳簿保存法です。
この法改正によって、電子化した契約書のデータも電子取引における定められた要件を満たした上での保存が必要となりました。ただ電子契約サービスを導入すればいいだけでなく、電子帳簿保存法の要件をクリアするシステムを選定しなければなりません。
電子帳簿保存法は成立から現在まで度重なる改正が行われてきましたが、2022年1月の改正では、「取引年月日」「契約書名」「取引金額」の主要な記録項目を用いて締結した契約書を検索できることが保存要件に加わりました。要は検索により契約書を探せる状態にして保存する必要があるということです。
この電子帳簿保存法への対応方法ですが、ファイル名に上記3項目を含めれば電子契約サービスのサイト内検索で検索できるようになるほか、契約書のデータをご自身のPCやGoogle Driveといったクラウドストレージに移行させる事でも検索できるようになりますので、ファイル名の変更だけで電子帳簿保存法の検索要件を最低限満たすことが可能です。
電子契約サービスの検索機能を最優先としなくても問題ありませんので、新しいサービスを選択する際はコストパフォーマンスや機能性など他の基準を優先しても差し支えないと言えます。
ただし、サイト内検索がついていないサービスは上記の条件を満たせない恐れがあるため避けるようにしましょう。
お試し利用で使い勝手と機能をよく確認する
本契約前の段階で、無料のお試し期間を設ける電子契約サービスは多くあります。お試し期間を利用して、操作性や使用できる機能を吟味しておきましょう。
ちなみに、無料プランの内容は大まかに次の2種類に分類されます。
- 無料プランでは使える機能を限定し、一部のみ使用できるプラン
- 電子契約サービスの有料版(本契)と同じ機能を一定期間だけ無料で試せるプラン
どちらの無料プランを提供していても、電子契約サービス自体の良し悪しにはそれほど関係はありませんが、2のプランのように無料お試し期間が限定されているケースでは、限られた期間内でサービスの検証を行う必要があります。
限られた期間内で懸賞を行うためにはしっかりした事前準備が欠かせません。具体的な準備手順については後の「電子契約の乗り換え手順を9つのSTEPで解説」でお伝えしますので参考にしてください。
すべてのサービスに共通する検証方法のノウハウとしては、実務と同様の方法で使用して使い勝手を試してみることがあります。細かい機能であるほど実際に使ってみないと使いやすさがわからないこともありますので、実際に自社で利用予定の機能をすべて使ってみましょう。
しかし、次のような理由から、実際と同様の運用が難しい場合もあります。
- そもそも無料お試しプランが用意されていない
- 2のタイプのように実務に必要な機能がフリープランに含まれておらず、使えない
- 3のプランで定められていた無料期間が過ぎてしまう
これらのケースでは、1カ月などの短期契約を行い、まずはお試し運用を検討してみるといいでしょう。短期契約ができないサービスは合わなかった場合の乗り換え作業が大変であるため、選択肢から外すことも検討しましょう。
実際に使用した場合のコストをシミュレーションする〈総額の把握〉
実際に新サービスを運用した際、総額でどの程度費用がかかるかの試算も行いましょう。
電子契約サービスの料金は大きく以下の4つの費用で構成されています。
- 初期費用(導入時のみ)
- 月額費用
- 従量課金
- オプション利用料
ほとんどの場合、月額の基本料金が必要です。ここに加えて、基本料+使うサービスに応じた従量課金、もしくはオプション利用料がかかります。
従量課金は、契約締結件数ごとに課金するパターンと契約書の送信件数ごとにお金がかかるパターンがあります。
契約書の送信件数ごとに課金されるケースでは、送信ミスなどが無効になるかどうかでも条件が異なります。送信ミスは無効とし、実際の契約の締結件数に応じた課金なのか、すべての送信が課金されるのかは要チェックです。
オプション利用料はオプションの利用の有無によって異なってきますが、ほとんどの電子契約サービスで何らかの機能がオプションとして提供されています。
オプションとなる機能の内容はサービスによって異なりますが、外部連携機能は「オプション」として別料金がかかる場合が多いです。会社によっては、あらかじめ機能が定められてセットとして金額が一定のプランや、サービスを利用できる期間を限定している場合もあります。
上記の通り、電子契約サービスの料金形態は複雑で不明瞭な面が大きいです。導入後に想定よりコストがかかる事態を避けるため、おおよその総額は把握しておきましょう。中でも従量課金やオプション料金は不明瞭な部分が多いサービスもありますので、不明点はしっかりと問い合わせることが大切です。
なお、各々の会社の事情次第で、どの電子契約サービスが適しているかは異なります。コスト削減は重要な課題ですが、コストを優先するあまり、自社に欠かせない項目や効率化につながる機能を省くのは課題解決を遠ざける事になります。
電子契約サービス選びには、コスト削減に加えて「業務効率化のための投資」という視点も持つようにしてください。
電子契約の乗り換え手順を9つのSTEPで解説
新たな電子契約サービスの運用に向け、現在のサービスの解約と乗り換える準備に着手しましょう。まずは自社が電子契約で何を重視し、理想としているのかを明確にします。その上で現在の電子契約における現状把握、実現できていない課題やギャップをしっかりと洗い出します。
さらに乗り換えにはサービスが受けられない空白期間を設けないよう努めましょう。現在利用しているサービスの契約期間を確認し、更新のタイミングまでに乗り換え作業が完了するように準備を行う必要があります。
注意したいのは契約の更新が1年以上の長期間単位の電子契約サービスです。このようなサービスは1カ月単位といった短期契約ができず、後々トラブルが起こっても乗り換え等の対処が難しくなります。
以上の点に留意しつつ、次のステップへと準備を進めます。
1.新規契約するサービスの候補を選定【お試し利用する企業を絞る】
まず初めに乗り換え先の電子契約サービスの候補をリストアップしましょう。
候補選びを最初に実施する理由は社内への理解を求めるためです。実際に使用するサービスの詳細や導入コストを把握しておけば、課題解消の道筋などを詳細に示すことができ、説得力が高まります。
候補の選定にあたって意識すべきポイントは以下の5点です。
1.自社に必要な機能が用意されているか
必要な機能の確認は大前提です。自社に必要な機能をしっかりと把握したうえで、それらが用意されているか確認しましょう。
2.導入に必要なコストの総額を知っておく
各サービスの料金形態の全体像を理解したうえで、自社に導入した場合のコストの総額を把握しておきましょう。月額や年額のランニングコストはもちろん、導入時の初期費用が発生するサービスもありますので注意してください。
費用の目安を知る方法ですが、まずは公式サイトを閲覧し、不明点は使いたい機能をリストアップしたうえでサービス提供元に問い合わせるのが確実です。料金体系で不明瞭な部分があれば、この機会にすべて解消しておきましょう 。
3.既存の契約書をアップロードできるか
旧サービスを解約後、これまでのデータはどうなるのか必ず確認しておきます。データ移行に際して、ダウンロードしたデータを再度アップロードする必要が出てきます。
4.問い合わせやサポートへの対応を確認
サポート体制がどの程度整っているのかどうかも前もって試しておきましょう。どれだけ念入りに準備をしても導入後にわからないことは必ず出てくるものですので、受けられるサポートの質は重要といえます。
着目すべきポイントは電話やメール・チャットといった人間によるサポートの種類です。これらは電子契約サービスやプランによって内容が大きく異なってくる分野ですので、良く調べたうえで不明点はしっかりと問い合わせておくことをおすすめします。
加えて、よくある質問やマニュアルの充実度も確認しておきましょう。意外と読めばわかる事もありますので、説明がわかりやすいか、図解による説明があるかなどもチェックしておくのがおすすめです。
5.新旧サービス乗り換えに対応可能か
新しい電子契約サービス会社に電子契約の乗り換え時に必要なデータ移行の機能があるのかも要チェックです。
最低限必要になるのは契約書のアップロード機能です。こちらは新規契約する契約書のアップロード機能とは異なり、既存の文書をアップロードして保管する機能になります。過去に締結した契約書が新規契約する契約書と別々に保管されてしまうと管理の手間が大きくなりますので、アップロード機能が用意されているサービスを選ぶべきです。
加えて、締結済みの契約書の数が多い場合や担当者がITに詳しくない場合は、電子契約サービス提供会社による乗り換えサポートの有無の確認もしておきましょう。
乗り換えサポートは基本的に有償ですが、利用すれば確実にデータを移行できます。
2.社内の許可を取る【乗り換えの目的や理由を説明】
電子契約サービスの乗り換えには社内体制の整備が不可欠です。
一定規模の従業員数を有する企業では、アクセス権限や閲覧手続き等に関するルールが社員各々や部署ごとに設けられている事が一般的です。その場合、個人の権限で契約書のデータのダウンロードが行えず、データの移行も不可能となります。
前もって社内に話を通しておかなければ、乗り換えそのものが行えません。
まずは、乗り換えによる利点について、全社的に理解してもらわなくてはなりません。現行システムにおける問題点、乗り換えで得られるメリットを具体的に伝えて根回しを行っておきましょう。
課題の存在が明白でなおかつ解決できる可能性が高いことを示すことができれば、新サービスへの移行に関して後々決定を覆されるリスクも軽減できます。
3.既存の電子契約サービスから契約書のデータをダウンロード
電子契約サービス乗り換えの肝となるのがデータの移行作業です。電子契約サービスを乗り換えると解約する旧サービスから契約書のデータが消えてしまいますので、データの移行が必ず必要になります。
この移行作業で最初に行う必要があるのが、既存のサービスに保管されている締結済みの契約書のダウンロードです。後で新規契約した電子契約サービスにアップロードすることになりますが、正常にアップロードできることを確認するため、試用の段階で移行作業を少し行う必要があります。よって、この段階でのダウンロードが必要です。
なお、場合によっては、移行作業中に新たな契約締結の機会が生じることもあるでしょう。このような場合の対処法ですが、既に乗り換え先のサービスを1つに絞り込んでいるのであれば、そのサービスを契約して乗り換え先の電子契約サービスを使って契約を締結し、旧サービスは使わないようにするのがおすすめです。
一方で、新規契約するサービスを決定していない、検討期間中に新たに契約を締結する場合は旧サービスで契約を締結しましょう。無理に急いで新規契約するサービスを選ぶと重大なポイントを見落として自社に適さないサービスを契約するリスクがありますので焦りは禁物です。
4.無料お試し利用で機能や使い勝手を確認して選定を行う
新たな候補となる電子契約サービスに無料プランがあるのなら、利用しない手はありません。実際の業務に利用するのと同様の運用を実施してみることをおすすめします。
電子契約サービスによっては、無料お試しプランの利用期間を限定している場合があります。このようなサービスを試用する場合は、フリー期間を有効活用するため、実際の業務で送付する契約書のサンプルや送付先のメールアドレスなど必要なものを前もって準備しておきましょう。
サービスによってはお試しプランを設定していなかったり、無料プランでは使えない機能があったりする場合もあります。また、登録したことを忘れてしまい、フリーで利用できる期間が過ぎていたというケースもあるでしょう。
その際は、1カ月〜などの短期契約で試してみることをおすすめします。
最後に、お試しプランが無く、短期契約もできないサービスに関心がある場合の対処法をご紹介します。
このようなお試しプランも短期契約のプランも用意しないサービスのほとんどは大企業向けの高額なサービスですので、利用を検討している旨を伝えて試用を交渉してみるのが最善策です。相手次第ではありますが、テスト環境を用意する等の対応をしてくれることもありますので一度聞いてみることをおすすめします。
5.新規採用するサービスを契約〈既存の電子契約はまだ解約しない!〉
興味があるサービスを試験導入して乗り換え先となるサービスが決まったら、そのサービスを先に契約してしまいましょう。
なお、この後に既に締結済みの契約書の移行作業が控えていますので、現在利用している電子契約サービスは解約してはいけません。何度もお伝えしていますが、契約が行えない機関の発生やデータの消失を防ぐ観点から、電子契約サービスへの乗り換えに空白期間を作らないことが大切です。
データの移行作業も新規契約したサービスに慣れるのにも時間がかかります。また、トラブルの発生も予想されます。どうしても新サービスの導入に手間取ってしまい、旧サービスをしばらく使う可能性もありますので、コストをケチって旧サービスを解約することは絶対にしてはいけません。
なお、新しく導入予定サービスが移行サポートに対応しているのであれば、この段階で以降サポートを依頼しましょう。
6.新規契約した電子契約サービスの初期設定を行う
新規電子契約サービスに乗り換えたら、まずはシステムの初期設定です。
アクセス権限や管理機能の設定、人数分のアカウント発行や連携するシステムとの連携といった初期設定を実施しましょう。また、必要に応じて業務フロー図の作成や社内ルール作成といったマニュアルの作成や改修もこの段階で行ってください。
7.【データ移行】ダウンロードした契約書のデータをアップロード
ここまでの準備が終わったら、これまで使ってきた電子契約サービスから契約書のデータをダウンロードし、新規サービスへと移行します。この記事の手順通りに作業を行った方であれば、ステップ3でダウンロードした契約書のデータをダウンロードしているはずですので、これを新規契約した電子契約サービスにアップロードしてください。
ダウンロードやアップロードのやり方はサービスによって異なりますので、各サービスのマニュアルを見る、サポートセンターに問い合わせるなどして方法を適宜確認し、契約書を移行していきましょう。
なお、紙の契約書をスキャンしたデータが含まれる場合、これらにはタイムスタンプや電子署名が付与されていない可能性が高いです(※通常は付与されません)。このような契約書のデータは締結日時や改ざんされていないことを証明する術を持たないことから法的効力が弱いので、紙の原本を保管しておく必要があります。
8.社内外に新規契約した電子契約サービスの使い方を解説し周知させる
新たな電子契約サービスを導入するにあたって、社内はもちろん社外に向けて調整を進めなくてはなりません。社内における新たな電子契約サービスのメリットと使い方、運用ルールなど使い方を交えて解説します。基本的な操作を記した操作マニュアルを作成してもいいでしょう。
社内にシステムが定着するかどうかは、乗り換えの意義を理解し納得してもらえるかどうかにかかっています。社内取引先など社外の定着についても同様で、新しい電子契約サービスの紹介と使い方を詳しく説明します。ITに苦手意識を持つ従業員が多く在籍する企業は特に注意が必要です。従業員が多く取引先も多岐にわたる企業の場合、電子契約サービスの運営会社担当者に説明会を開催してもらうのも一案ですので、必要に応じて相談してみましょう。
9.既存の電子契約を解約する
これまでご紹介した手順をすべて実行したうえで実際に新規導入したサービスの利用を全面的に開始し、新サービスの運用に問題ないことを確認します。
疑問や問題点を全部洗い出し、移行が完璧に完了したら旧サービスの解約を行いましょう。
【まとめ】電子契約の乗り換えは計画が重要
電子契約の乗り換えには時間がかかります。契約期間の問題やデータ消失リスクなど社内の重要事項を扱うだけに、慎重かつ計画的に実施しなければなりません。一方で、自社の業務効率化やコスト軽減などのメリットも多数存在します。新たなサービスへの乗り換えによって、社内の課題を解消することもできるでしょう。
しかし乗り換えには手間や時間、さらに社内外の理解を得るなど多くの手順を踏む必要があります。何度も安易に乗り換えるのはおすすめできませんので、事前のシミュレーションと入念な準備を行い、万全の状態で着実に進めていきましょう。
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