2023年12月11日2026年04月17日
コスト削減・業務効率化などの観点から、急速に広まりつつある電子契約。電子契約では、これまでの紙の契約では必要不可欠だった印鑑が不要となります。しかし、これまで必要だった印鑑が急に不要になるのはなぜでしょうか?今回は印鑑が電子契約で不要になる理由や、電子印鑑機能のある電子契約サービスもご紹介します。
電子契約では、なぜ印鑑がいらないのか?
実は、法律で紙での契約が義務付けられていない契約であれば、書面契約の場合でも印鑑は必須ではないため、「書面(紙)では印鑑が必須」で「電子契約では印鑑不要」という訳ではありません。電子契約が「印鑑不要」と言われる理由は、これまで印鑑が担ってきた役割を、「電子署名」と「タイムスタンプ」という2つの最新技術が、より高いレベルで引き継いでいるからです。
そもそも契約に印鑑は不要!?
民法第522条(契約の成立と方式)では、“本人たちに契約の意思があり、紙での契約が法律で義務付けられていない種類の契約であれば口頭の約束でも契約が成立する”とされています。
また、経済産業省の「押印に関するQ&A」でも、特段の定め(紙での契約が法律上義務)がある場合を除き、“契約者同士の同意があれば、書面の作成や押印は必要な要件ではないため、押印がなくても契約の効力に影響はない”との回答があるため、原則、契約に印鑑は必須とされていません。
民法第522条(契約の成立と方式)
1項 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2項 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
出典:e-GOV|民法 第五百二十二条
押印に関するQ&A(令和2年6月19日)
Q1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。
出典:経済産業省|押印に関するQ&A
なぜ契約に印鑑が必要だったのか?
日本のビジネスで印鑑が必須だった最大の理由は、裁判での「最強の証拠」になるからです。民事訴訟法第228条には、「本人の署名や押印があれば、その書類は真正なもの(本人が納得して作ったもの)とみなす」というルールがあります。さらに過去の判例でも、「本人の印鑑が押してあるなら、本人が自分の意志で押したはずだ」と認められてきました。
つまり、印鑑は契約を成立させるための道具というより、万が一トラブルになった際、裁判所に「これは間違いなく本人の合意です」と認めさせるための最も手軽で強力な証明手段だったのです。
逆に言えば、「本人が合意したこと」を客観的に証明できる別の手段さえあれば、必ずしも印鑑である必要はありません。 その現代的な身分証明の手段こそが、デジタル技術を用いた「電子署名」や「タイムスタンプ」なのです。
電子契約の有効性について
従来は印鑑による捺印を本人が合意した証拠としていましたが、電子署名法が整備されたことで電子署名やタイムスタンプによる契約が契約者同士が合意した証拠として法的証拠力を持つようになりました。これにより、印鑑の必要性が無くなったのです。
電子署名法第3条
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
出典:e-GOV|電子署名法第3条
電子契約の法的効力
経済産業省がホームページに掲載している「押印に関するQ&A」では、契約の有効性の証明と押印に関して以下のように述べています。
Q3.本人による押印がなければ、民訴法第228条第4項が適用されないため、文書が真正に成立したことを証明できないことになるのか。
本人による押印の効果として、文書の真正な成立が推定される(問2参照)。
そもそも、文書の真正な成立は、相手方がこれを争わない場合には、基本的に問題とならない。また、相手方がこれを争い、押印による民訴法第228条第4項の推定が及ばない場合でも、文書の成立の真正は、本人による押印の有無のみで判断されるものではなく、文書の成立経緯を裏付ける資料など、証拠全般に照らし、裁判所の自由心証により判断される。他の方法によっても文書の真正な成立を立証することは可能であり(問6参照)、本人による押印がなければ立証できないものではない。
本人による押印がされたと認められることによって文書の成立の真正が推定され、そのことにより証明の負担は軽減されるものの、相手方による反証が可能なものであって、その効果は限定的である(問4、5参照)。
このように、形式的証拠力を確保するという面からは、本人による押印があったとしても万全というわけではない。そのため、テレワーク推進の観点からは、必ずしも本人による押印を得ることにこだわらず、不要な押印を省略したり、「重要な文書だからハンコが必要」と考える場合であっても押印以外の手段で代替したりすることが有意義であると考えられる。
文書の真正な成立(有効性)が争われた場合は本人が合意したかどうかが重要であるが、押印(印鑑)はそれを証明する必須の手段ではなく、証拠力も限定的ということになります。
つまり、押印(印鑑)の証拠力は「万全」ではないため、唯一の証明手段ではなく、押印(印鑑)がなくても契約の正しさは証明できるということです。
電子契約で印鑑を押したい場合
契約書のPDFなど、電子データに印鑑を押すことは、技術的には可能ですが、「本物の印影」を画像にして使うのは危険があります。「契約書にはハンコがあった方が安心する」という方も多いですが、実印をスキャンした画像を貼り付けるのことは、現在はスキャナや3Dプリンタの性能が飛躍的に向上しており、簡単にハンコを複製(偽造)されてしまうリスクがあるため、取り扱いには注意が必要です。
安全に電子印鑑が利用できる電子契約サービス
電子契約で押印を行いたい場合は、電子契約サービスの活用など安全な代用案の検討がおすすめです。以下では、電子印鑑(印影の画像)を表示させつつ、法的な証拠力(電子署名・タイムスタンプ等)をしっかり担保できる、おすすめの電子契約サービスを3つご紹介します。
1. GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)
GMOサインは、日本国内でトップクラスのシェアを誇るサービスです。
ガバナンスやセキュリティが非常に強固で、自治体の導入実績も多く相手方がアカウントを持っていなくても署名できる「立会人型」に対応しています。電子印鑑の機能では、標準で印影画像を生成・表示でき、自分の持っている印影画像をアップロードして使うことも可能です。
2. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)
クラウドサインは、日本の電子契約ブームの火付け役ともいえる、最も有名な電子契約サービスです。知名度が抜群なため、取引先に「クラウドサインで送ります」と言った際の安心感が高く、操作画面も非常にシンプルで、マニュアルを読まなくても直感的に使うことができるサービスです。電子印鑑の機能は、 名字を入力するだけで、自動でそれらしい印影画像を作ってくれます。
3. マネーフォワード クラウド契約(株式会社マネーフォワード)
マネーフォワード クラウド契約は、会計ソフトでおなじみのマネーフォワードが提供するサービスです。すでにマネーフォワードの確定申告や会計を利用している場合、連携が非常にスムーズで、契約書の「保管・管理」機能が優れており、過去の契約の検索もしやすい仕様のため、書類作成から締結までをスムーズに一元管理できます。
電帳法対応の安い電子契約サービス
電子印鑑が利用できる電子契約サービスは、プランや契約数によっては高額になってしまうことも・・・。
以下は、電子署名・タイムスタンプ機能込みで安く利用することができますので、コスト重視の方におすすめです。
1.クラウドコントラクト
クラウドコントラクトは、月額料金内で契約書の送信・締結・保管が可能で、低価格で導入できる電子契約サービスです。
「電子署名」と「タイムスタンプ」追加の費用がなく、「送信数」ではなく「実際に締結が完了した件数」が月の締結可能数のカウント対象となるため、送信ミスや、先方で却下されたなど、締結しなかったものがあってもカウント対象外となるので安心して利用できます。
また、締結可能数を超えた場合でも、超過1件につき110円となっているため、追加料金も安く抑えられる点が魅力です。
2.eformsign
eformsign(イーフォームサイン)のチャージ型プランでは、必要なときに必要な分だけチャージして利用することができるため、月毎の契約締結数が少ない場合や、契約数が月によってばらつきがある場合にも、契約件数に応じて無駄なく利用できる点が魅力です。
※eformsignでは、「実際に締結が完了した件数」ではなく、「送信数」がカウントされるため、送信ミスには注意が必要です。
電子署名やタイムスタンプの追加が有料のため、電子帳簿保存法に対応できるよう利用する場合には、1送信毎の「送信料金(110円~)」と締結した契約書への電子署名とタイムスタンプの付与(110円~)の料金が基本的な料金となります。
3.ベクターサイン
ベクターサインのプラン5では、必要な分だけチャージして利用できるため、契約数に応じた最低限の費用で利用することができます。プラン料金内で、契約書の送付・締結・電子署名とタイムスタンプの自動付与・保管までシステム内で行えます。
※ベクターサインでは、「実際に締結が完了した件数」ではなく、「送信数」がカウントされるため、送信ミスには注意が必要です。
チャージは1通毎ではないので、最低5~のチャージ/購入となりますが、1000円台でチャージすることができるためコスパ◎です。
また、上位のプランも6,000円~となるので、将来的に契約数が増えることを考慮しても安心して利用できる点が魅力です。
よくある質問
電子契約の場合、なぜ、印鑑は必要なくなるのでしょうか?
印鑑の役割は「本人が合意した証拠」を残すことです。そのため、電子契約では電子署名とタイムスタンプがその役割を果たすため、印鑑が不要になります。
そもそも契約には、印鑑を付与するという決まりがあるのでしょうか?
特段の定めがある場合を除き、押印は契約の成立に必須の要件ではありません 。合意があれば口約束でも成立しますが、裁判時の「証拠」とするために従来は印鑑が使われていました 。
紙の印鑑よりも電子契約の方が本人性を担保しているって本当ですか?
はい。印鑑は他人が捺印することも可能ですが、電子契約は電子署名等の仕組みにより他人が勝手に契約できないようになっているため、むしろ証拠力が強いと言えます 。
本物の印鑑を電子契約書に付与してはダメなのですか?
だめです。スキャナや3Dプリンタで簡単に複製されるリスクがあり、偽造印鑑が出回る危険があります。
印鑑機能が電子契約に欲しい場合、おすすめのサービスはありますか?
freeeサインがおすすめです。簡易的な印鑑で良ければマネーフォワードクラウド契約も選択肢になります。
印鑑機能が電子契約になくても良い場合、おすすめのサービスはありますか?
送信料がプラン内無料で、圧倒的に低価格なクラウドコントラクトがおすすめです 。そのほか月額料金が安い「ベクターサイン」なども選択肢となります 。
取引先から「印鑑がないと不安だ」と言われたらどうすればいいですか?
電子署名法第3条などの法的根拠を提示し、印鑑よりもなりすましや改ざんのリスクが低いことを説明してください。どうしても印影を求める取引先には、法的効力はないものの「お飾り」として印影を付与できるサービスの利用を検討しましょう。
電子契約で重要な機能は何ですか?
電子署名とタイムスタンプです。これらが本人性の証明と改ざん防止を担い、契約の証拠力を確保します。
電子契約はすべての契約に使えますか?
多くの契約で有効ですが、法律で書面での押印・相手からの承認が義務付けられている契約は例外となることがあります。導入前に対象契約の確認が必要です。
相手方が電子契約に対応していない場合はどうすればいいですか?
その点は問題ありません。多くの電子契約サービスはメールで契約書を送付する形式のため、相手側に専用アカウントが不要なケースが多いです。導入前にサービスの仕様を確認するとよいでしょう。
まとめ
電子契約では安全性・法律の観点からは印鑑機能は全く必要ありません。しかし、「電子契約でも印鑑があったほうが安心」という方も多いのも事実です。電子契約で印鑑をつけたい場合は、電子印鑑機能や電子署名・タイムスタンプ機能がある電子契約サービスの活用をおすすめします。
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