【最新】不動産取引に電子契約を導入するときのポイント

2023年12月12日2024年01月12日

【最新】不動産取引に電子契約を導入するときのポイント

ビジネスの現場では、さまざまな業務のデジタル化が進んでいます。そんな中、不動産業界はデジタル化において他業界から遅れを取っていると言われてきました。しかしIT重説の自由化や2022年の宅建業法改正により、業界の電子契約化が加速しています。

この記事では不動産取引での電子契約化を迅速に進めるためのポイントを詳しく解説します。不動産業界向け電子契約サービスもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

不動産取引で電子契約を進めるには?

不動産取引において電子化が進まなかった主な要因として、デジタル化が難しい契約業務が多数存在していたことが挙げられます。2022年の法改正により不動産取引における規制が緩和され、ほぼ全面的に電子契約が可能となりました。

ここでは、不動産取引において電子契約を進めるうえで知っておきたい基礎知識をまとめました。さらに不動産に特化した電子契約サービスと選ぶ際のポイントについてもご紹介します。

不動産取引の電子契約は2022年5月全面解禁に

2022年5月施行の「デジタル改革関連法案」の法改正により、契約締結借地借家法・宅地建物取引業法等を含む48の法律が改正されました。従来は紙の書面で交付が義務づけられていた取引も電子化が可能となったのです。これにより、不動産取引の契約がほぼ電子化できるようになりました

対面での説明のもと、宅地建物取引士(宅建士)の押印が義務づけられていた「重要事項説明書」の電子交付も認められています。オンライン会議システムなどを利用したIT重説を実施すれば、契約業務をすべてオンラインで完結できる仕組みが整ったことになります。

電子契約とは? 法的効力を担保するポイント

あらためて電子契約とは、電磁的記録(電子データ)で契約書を作成し、締結まで行う契約を言います。紙で作成した書面の契約書は用いません。本人性を証明するため、紙の契約では印鑑を用いていました。しかし電子契約では押印ではなく「電子署名」という仕組みを使い、本人性を担保するのが特徴です。

加えて電子契約では、書類の改ざんを防ぐ「タイムスタンプ」という仕組みが必須となります。「電子署名法」「電子帳簿保存法」でルールが定められており、法的効力を担保するには、その要件を満たさなければなりません。電子契約で成立させる必要のある要件は次の4点です。

  • ①電子署名が本人によって作成されたことを示せる
  • ②電子署名について改変がおこなわれていないかどうか確認できる
  • ③電子契約書が改ざんされていないことを証明できる(タイムスタンプの付与)
  • ④必要な時に速やかに画面・書面に出力できるように保管する必要がある

電子契約サービスの導入は必要?

電子契約の利用により、業務効率化やコスト削減などが期待できます。ただ、電子契約に法的効力を持たせるには「電子署名」「タイムスタンプ」などの仕組みの導入が不可欠です。また検索できるように書類を保管したり、セキュリティ対策を強化したりするなどの対応をしなければなりません。

煩雑な作業をこなす手間がかかる上、専門的な知識も求められます。このような仕組みを自社で作成することは現実的には難しいのが実情です。そこで、自社に適した電子契約サービスを導入することをおすすめします。電子契約サービスの導入により、以下の3つの実現が可能です。

1.効率化的な業務の実現
電子契約サービスには、契約書の作成から送信、進捗管理、電子契約書の保管までを行える機能が備わっています。簡単に業務フローの電子化が実施でき、業務効率の向上が図れます

2.法に則った運用ができる
電子契約では「電子契約法」「電子帳簿保存法」で定められたルールを守らなくてはなりません。電子契約サービスには、満たすべき要件である「電子署名」「タイムスタンプ」機能を備えているものが少なくありません。「電子帳簿保存法」に対応した保管方法で、電子契約書を保管する機能を持つサービスもあります

3.セキュリティ対策がされている
電子契約では情報漏洩に備え、セキュリティ対策にも配慮が必要です。電子契約サービスでは、「電子署名」「タイムスタンプ」機能に加え、二要素認証・通信の暗号化などの対策がなされています。権限管理機能でアクセスを制限すれば、内部の社員による情報漏洩も防止できます。

電子契約サービスそれぞれで備わる機能は異なっています。電子契約サービスの機能を精査し、自社に必要な機能があるかどうかを確認して選ぶことも大切です。

不動産取引の電子契約のメリットと注意点

書面での押印など旧来からの慣習もあり、電子契約が進まなかった不動産業界。電子化により、抱えてきたさまざまな課題の解消にもつながっています。不動産取引における電子契約のメリットと注意点についてピックアップしてご紹介します。

メリットは印紙などのコストダウンと業務効率化

不動産取引における電子契約導入には、大きなメリットが3つあります。

1つめはコスト削減です。紙の契約書では、取引の内容や金額に応じて印紙が必要です。電子契約では印紙が不要で印紙税がかからず、書類作成のコスト削減が実現できます。契約書の印刷・郵送代などのコストも減らせるため、トータルでのコストダウンが可能です。

2つめは、電子契約導入にともなうオンライン化で、スピーディな契約締結が可能になることです。 IT重説や重要事項説明書の電子交付ができるようになり、オンライン上ですべての契約業務が完了します。対面で契約するために移動したり、場所を準備したりする必要もなくなります。売買や仲介など契約当事者が複数いるケースで、郵送で書類をやりとりする時間が大幅に削減できるメリットがあります。

3つめは、書類管理における利点です。不動産業界において、契約書や重要事項説明書など関連する書類の多さは電子化の大きなネックともなってきました。また宅地建物取引士は5年間、取引台帳を保管する義務があります。電子契約の導入でファイリングの手間や管理スペースが不要となり、業務効率向上が期待できるのです。タイムスタンプを使い、書類を検索できる電子契約サービスで保管すれば、管理の負担も軽減可能です。

注意点はオンライン化に壁が残っていること

不動産取引の電子契約により、3つのメリットがあることをお伝えしました。一方で導入に当たっては、2つの点に注意しなければなりません。

まず、契約にあたって、当事者の承諾が必要になるという点です。当事者が「重要事項説明書の電子交付」「IT重説」「電子契約」について承諾した上で、契約を進めなければなりません。さらにIT重説を行う際には、オンライン環境の整備が欠かせません。契約相手が対応できない場合は、紙の書類での契約を実施することとなります。

加えて、電子契約ができない不動産取引があることを理解しておきましょう。事業用定期借地契約(借地借家法23条)については、現状は紙の契約書が必要となります。

不動産専門の電子契約サービス5つを比較

不動産取引は契約書や書類が多く、業務フローや携わる工程が多岐にわたります。複雑な不動産取引に特化した電子契約サービスが登場しています。ここからは、5つの不動産専門電子契約サービスについて順にご紹介します。

いえらぶサイン(いえらぶ電子契約)

不動産取引の賃貸・売買・管理を含む多種多様な取引内容に対応したオールインワン不動産業務支援システム「いえらぶcloud」が手がける電子契約サービスです。賃貸借契約や更新契約をWeb上で完了でき、契約業務の効率化を図れます。

関係者や契約フローが多岐にわたる不動産業務特有の複雑な業務フローに対応できるのも強みです。管理会社でそれぞれ異なる契約フローについても的確に対応できます。リーシング・管理機能とデータ連携しているため、リアルタイムな情報の受け渡しも可能で、入力も一度で済みます

対象 初期費用 月額費用 お試し機能
法人 問い合わせ 問い合わせ あり

IMAos

重要事項説明書の電子交付や不動産賃貸契約の電子契約など不動産事業者向け手続きがシンプルに行えるクラウド型電子署名サービスIMAos。2017年からサービス提供をスタートしている草分け的存在です。メールでの電子契約以外に、スマホのSMSでも電子契約を行える使い勝手のよさも魅力です。さらにZoom連携機能が標準で備わっているため、IT重説も迅速に行えます。2023年のIT導入支援事業者として補助金の対象にもなっています。

対象 初期費用 月額費用 お試し機能
法人 55,000円~ 27,500円~ あり

ITANDI BB+電子契約くん

ITANDI BB + 電子契約は、不動産賃貸契約に関する契約をオンラインで完了できるサービスです。提要するのはイタンジ株式会社で、同社の「申し込み受付くん」「更新退去くん」と合わせて活用すれば、入居申し込み・入居後対応の工数を大きく削減できるのが強みです。賃貸借契約に付帯する保証委託契約・駐車場契約・定期借家契約・保険契約などの幅広い対応も特徴となっています。

対象 初期費用 月額費用 お試し機能
法人 問い合わせ 問い合わせ あり

日本情報クリエイト株式会社「電子契約サービス」

「電子契約サービス」は、不動産売買契約・賃貸借契約などの電子契約に加え、秘密保持契約書、雇用契約書などの一般的な契約においても電子化に対応しています。ExcelやWord、PDFで作成された既存の契約書ひな型を利用できます。また不動産の賃貸借契約において「家主」「管理会社」「仲介会社」「契約者」などの属性と契約フローを細かく設定できるのも利点の一つ。これまでの契約フローを変えることなく電子化が可能です。

対象 初期費用 月額費用 お試し機能
法人 問い合わせ 問い合わせ

PICKFORM – 株式会社PICK

PICKFORMは、国土交通省マニュアルと宅建業法に対応した設計で、不動産取引に特化した独自開発のサービスを提供しています。不動産電子取引サービスの中で唯一、国土交通大臣の認定を受けているのもポイントです。賃貸・売買・請負など不動産取引の電子契約に加え、秘密保持契約書、雇用契約書まで幅広くカバーしているのも特徴。物件それぞれで契約に関する書類や情報を一元化できるため、物件管理の効率化も図れます。

対象 初期費用 月額費用 お試し機能
法人 無料 33,000円~ あり

不動産取引で電子契約サービスを選ぶときのポイント

電子契約サービスは、提供する会社によって機能や料金に大きな差異があります。サービス内容や適した企業の規模も精査し、自社にあったサービスを選ぶことが肝要です。電子契約サービスを選ぶ際の一般的なポイントは、以下の記事をご参照ください。

3つのポイントをチェック

ここからは、不動産取引のための電子契約サービスを選ぶにあたって、チェックしたいポイントを3つお伝えします。

1.月間契約数に対する費用対効果
電子契約サービスに支払うコストは、基本料金プラス契約締結ごとに発生する従量課金制(100〜200円)が一般的です。自社が1カ月に締結する契約数はどのくらいかを把握し、コストパフォーマンスを見極める必要があるでしょう。さらに不動産専門の電子契約サービスに関しては、他の契約よりも月額料金が高めに設定されている場合がほとんどです。契約数とコスト、双方をチェックすることが重要です。

2.自社に必要な連携機能を調べる
賃貸借契約は、内見の予約や契約申し込み、更新など他の不動産取引と比較しても管理する項目が多い傾向にあります。不動産専門の電子契約サービスは、管理システムの連携や、物件ごとの管理ができるシステムを備えているものもあります。どの機能が自社に必要で、より便利かをチェックして取捨選択することも重要です。

3.一般的な契約書の電子契約は必要か
不動産専門の電子契約サービスは、不動産取引に特化した内容になっている場合も少なくありません。しかし自社の業務において、一般的な商取引契約書や秘密保持契約書、雇用契約書の機能が必要な場合は、対応しているかどうかもポイントになります。

まとめ

不動産取引は、扱う契約書や書類が多く、また契約当事者も複数になるなど業務内容が複雑です。電子契約の導入により、煩雑な業務がシンプルになるため大幅な効率化が期待できます。書面の契約書で必要だった印紙代なども不要で、コストカットも実現可能です。

法改正もあり、煩雑な不動産取引に特化した電子契約サービスも複数登場しています。しかし機能が充実している反面、月額料金も高めになる傾向にあります。自社の契約数や業務に応じた費用対効果があるかどうか、見極める必要があるでしょう。月の契約数が多くない場合は、シンプルで使いやすい電子契約サービスも選択肢に入れることをおすすめします。

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CloudContractのロゴ

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GMOサイン

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